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松たか子＆阿部サダヲ『男女の駆け引き、女性の下心は生々しいけど……ふわふわしたところを楽しんで』
心情の描写が脚本に書かれてないから…［阿部サダヲ］
阿部地味なふたりですよねぇ。街中を歩いていても目立たないふたりだと思います。こんな派手じゃない夫婦を題材にしているところがまずおもしろいですよね。
松決定稿で突然、九州弁を話す設定に変わったときは、びっくりしました。些細なようで大きな変化だと思ったし、徹底的に物語を練り上げる監督の情熱を感じました。
阿部九州弁、難しかったです。現場で方言指導の方もよく悩んでましたよね？
松そうそう。演じる側の気持ちを汲み取ってくださる方で。
阿部その方も役者だから、一緒になって気持ちを考えてくれて。西川監督の脚本って、セリフを喋っているうちに自然とおもしろくなっていく。心情の描写が脚本に書かれてないから、監督からたまに「それは違います」と修正が入るスリルもあって（笑）。
松夫婦のラストシーンは、冒頭の市場のシーンでしたね。日の出を待って撮影した感動的なラストシーンは、私なりの精一杯の自転車能力で、阿部さんの後について漕ぎました（笑）。
阿部松さん、まっすぐにしか漕げないから、ぶつかったら困ると思って。本当に心配で“お願いだから、今、車は来ないでくれ！”って祈ってました。でも完成作を見たら“昔から乗ってます”って顔をしてたから、さすがだなって（笑）。
おしゃべりがしたくなる 不思議な味わい［松たか子］
阿部試写が始まる前はにぎやかだったのに、途中からシーンとしちゃって（笑）。観終わったあと、複雑そうな顔になってた。
松阿部さんと私は参加できなかったんですが、試写の後の乾杯の席で、この夫婦に騙された女を演じた女優さんたちが集まって、延々と「ああでもない、こうでもない」とおしゃべりをしていたんですって（笑）。監督からその話を聞いたとき、あぁ本当にこの夫婦は“夢売るふたり”だったんだなって。基本的に映画に再演はないわけで、映画が完成して、二度と里子を演じることがないんだと思うと切なかったり、ちっちゃなふたりを愛おしく思えたり、映画を観ている間はいろんな気持ちがよぎりました。
阿部それおもしろい。その座談会の内容が知りたい。やっぱり僕は里子とふたり座談会を開きたいですね。あのとき本当はどう思ってた？とか、あの言葉がそこまで響いていたとは思わなかったとか、確認したいことがいろいろとあるんで！
松観終わっておしゃべりがしたくなる、不思議な味わいの映画だと思います。男女の駆け引きや女性の下心は生々しいけれど、この夫婦のバーンと弾けちゃったような、ふわふわしたところを楽しんでもらえたら、うれしいです。
（文：石村加奈／撮り下ろし写真：片山よしお）
※注：劇中でウエイトリフティング選手の女性が貫也の詐欺にあう
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阿部サダヲ：松さんの意外な人間っぽさにびっくり
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西川監督 前篇：気鋭・西川美和監督が語る「母性と残酷さこそ“女”」
西川監督 後篇：女性監督”という肩書きは厄介「一職人でありたい」
［松たか子］ヘアメイク：華子（HAPP'S）／スタイリング：梅山弘子（KiKi inc.）
［阿部サダヲ］ヘアメイク：中山知美／スタイリング：チヨ
映画情報
東京の片隅で子料理屋を営んでいた夫婦は、火事ですべてを失ってしまう。夢を諦めきれないふたりは金が必要。再出発のため、彼らが始めたのは、妻が計画し、夫が女を騙す結婚詐欺！しかし嘘の繰り返しはやがて、女たちとの間に夫婦の間に、さざ波を立て始める……。
監督：西川美和
出演：松たか子 阿部サダヲ 田中麗奈 鈴木砂羽 安藤玉恵 江原由夏 木村多江
【映画予告編】 【OFFICIAL SITE】
2012年9月8日（土）全国ロードショー
(C)2012「夢売るふたり」製作委員会
関連リンク
・切なくも危うい男と女…予告画映像をCHECK!!
・松たか子＆阿部サダヲ意外な人間っぽさ？飽きない？
・西川美和監督インタビュー前篇「母性と残酷さこそ“女”」
・西川美和監督インタビュー後篇「一職人でありたい」
