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(更新: ORICON NEWS

西島秀俊『無器用だから悩むし時間がかかる』

愁いを帯びたクールな語り口、スマートなラインのなかの鍛え上げられた肉体美、類まれな演技のセンスで見せるさまざまな顔――その醸し出す独特な雰囲気が性別年代を問わず幅広い層を魅了している俳優・西島秀俊の“充実しているいま”“幸せな生活”を掘り下げる☆

スピードスターというタイプではない(笑)

──ドラマ、映画、CMと幅広くご活躍中ですが、『チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像』では、3年半ぶりの速水先生役。久々にチーム・バチスタに戻ってきた感想から聞かせてください。
西島改めて、田口&白鳥コンビの魅力を感じています。伊藤淳史くんは、この世にこれほど純粋で心優しい男がいるのかと思うような人で、そんな彼が田口先生を演じているということがまず魅力です。そして、今回は白鳥さんが過去を突きつけられるシーンがいちばん胸に響きました。あのときの白鳥さんの態度と、演じる仲村トオルさんの役者としての姿が重なったというか。トオルさんの人間的な大きさや誠実さが白鳥さんのキャラクターに合っていて、役作りを超えた説得力があったんですよね。

──役を演じているけれど、そこに俳優の持っているものがにじみ出ていると?
西島だと思います。伊藤くんとトオルさん、お互い何かが作用したのかもしれない。とにかくこのシリーズはあのふたりだからこそなんです。仲村トオルファンとしては伊藤くんのポジションがうらやましい(笑)。けれど、現場にいるとふたりの友情というか信頼というか、そういうものが自然と見えてくる。でも、やっぱりうらやましいですね。

──(笑)伊藤淳史さんや仲村トオルさんがそれぞれのキャラクターと重なるように、西島さんと速水先生も何か重なるものはありますか?
西島僕はどちらかというと無器用で時間のかかるタイプ。スピードスターというあだ名が付いている速水晃一のように、すごいスピードですり抜けていくタイプではないですね(苦笑)。

──ということは、2010年に連続ドラマ『チーム・バチスタ2 ジェネラル・ルージュの凱旋』で速水役のオファーを受けたことは新鮮だった?
西島そうですね。速水のような善悪ギリギリの灰色のところを平然と進んでいくという人物は、テレビの連続ドラマで演じたことはあまりなかったです。映画ではそういう役をいただく機会もありましたけど。そういう意味では速水役は嬉しかったです。

──自分でもそういう役を求めていた、ということですか?
西島いや……僕は昔も今も自分から“こういう役”と選ぶことはありません。ぜんぶマネージャーに任せているので。でも、クズみたいな役、どうしようもない役もやりたいですね(笑)。

──速水先生は格好いいですからね(笑)。速水先生は命を救うためならどんなこともいとわない、真っ直ぐな男でもあります。改めて彼の魅力を語ると?
西島海堂尊先生(原作者)が描く速水は本当に素敵です。それを(脚本の)後藤法子さんがさらに魅力的にしてくれるので……。あとは、ずっと言ってきていることですが、僕の演じる速水が魅力的なのは、仲村トオルさんが球を投げてくださったから。トオルさんの球を一生懸命に返しているうちに出来上がっていったんです。もう、それに尽きます。

根掘り葉掘りいろいろな話を聞いた

──そんな仲村トオルさんから、俳優として男として得たものは?
西島僕の役を大きく見せる演技をしてくださった、ということですね。トオルさんは大先輩で、演技のレベルも全然違うけれど、物語の設定上は白鳥さんと速水は同期。どう考えても僕の方が力不足なんです。けれど、それをトオルさんは演技によって僕の役を大きく見せてくれた。将来、自分が俳優として一人前になったら、僕もそんな演技ができたらいいなと思います。あと、個人的にはセントラル・アーツ(『あぶない刑事』や『ビー・バップ・ハイスクール』などの製作プロダクション)の話をしたくて、根掘り葉掘りいろいろな話を聞かせてもらいました(笑)。

──そうやって映像に映し出された速水先生と白鳥さんの対峙シーン、今回もとてもいいシーンでした。また、映画でファイナルを迎えることと、そのストーリーを読んだときの感想も聞かせてください。
西島そうですね……Ai(オートプシー・イメージング:死亡時画像診断)をふくめた医療現場のおもしろさ、殺人事件の犯人は誰なのかというミステリー、白鳥さんの過去……そして、生瀬さんの演じる東堂というまったく新しいキャラクターも登場するので、いろいろな要素が入っている映画ですね。映画から参加する生瀬さんは個人的に大ファンなので、あの役を「どう演じるんだろう?」と楽しみにしていました。

──その「どうやるんだろう?」を実際に見て?
西島もう、びっくりしましたね(笑)。僕は、たまたま生瀬さんとの共演がずっと続いていて、それはすごく嬉しいことで(ドラマと映画の『ストロベリーナイト』シリーズやこれからスタートするドラマ『MOZU』でも共演)。ただ、この映画と並行して撮影していた別作品の生瀬さんの役は、東堂とは全然違うキャラクターで、ものすごいきちっとした人。だけどこちらでは……(笑)。この現場の東堂役はどんどんヒートアップしていくので、さすがだなって思いました。生瀬さんにできない役はないんじゃないかって思うほど自在に役を演じている、うらやましいです。

──西島さんも演技派として同じように思われている役者さんのひとりだと思います。
西島いやいや、僕は無器用で時間がかかるんです。台本をもらって、この役をどう作っていこうかとすごく悩むし、その作業にすごく時間がかかる。決して演技は上手くないのでたくさん練習しなくてはならないし。なので、最近は(出演作品が続いていることもあり)なかなか時間がなくて映画館にも行けていないけれど、空いている時間に演技のことを考えることで、毎日が充実しています。幸せですね(笑)。

──「充実」「幸せ」という言葉からも、西島さんの今が、またこの映画の現場がどれだけ素晴らしいものだったのか伝わってきます。
西島伊藤くんが現場のムードを作って、トオルさんがそれを見守っている、とてもバランスのいい現場でしたね。年輩の男性は(伊藤さんを)「あっくん、あっくん」と慕っていたし、若い俳優やスタッフは「トオルさん、トオルさん」って。そういう、いい意味で気持ちの悪いくらいの仲の良さがあって(笑)、すばらしい現場でした。
(文:新谷里映/撮り下ろし写真:逢坂聡)

チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像

 国際Aiセンター(Ai=オートプシーイメージング:死亡時画像診断)発足の目玉として導入されたMRI“リヴァイアサン”。顕微鏡レベルの解像度を誇り、まさに現代医療の怪物としてふさわしい巨大な機器は死因究明システムの飛躍的進歩の象徴として世間から大きな注目を集めていた。

 国と自治体、東城医大が三位一体で取り組む死因究明システムの一大改革に、田口と厚生労働省でAi導入を推進する白鳥が奔走。こけら落しとなる大講堂でのシンポジウムはあと10日。そんななか、東城医大に一通の脅迫状が届く。「三の月、東城医大病院とケルベロスの塔を破壊する」

 ケルベロスとは、ギリシア神話に登場する”三つの頭をもつ冥界の番犬。“死への入り口”――つまり、Aiセンターを意味する。いったい誰が、何の為に?疑惑と謎を抱えながら真相を突き止めようとするバチスタコンビ。時を同じくして、司法解剖では死因が判別できない前代未聞の集団不審死事件が発生。その中には白鳥のよく知る人物が――。 Aiセンター始動の日……医学界の根底を大きく揺るがす“最悪な日”が幕をあける。

監督:星野和成
出演者:伊藤淳史 仲村トオル 桐谷美玲 松坂桃李 西島秀俊 栗山千明 生瀬勝久
【映画予告編】 【公式サイト】
2014年3月29日(土)全国公開
(C)2014 「チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像」製作委員会

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西島秀俊 撮り下ろし☆PHOTO GALLERY☆
速水先生の最後の雄姿も…<映画予告編>
『チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像』公式サイト

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