私たちの髪を整え、日常に彩りを与えてくれる美容師。そのプロの手が、実は深刻な「手荒れ」という職業上のリスクと戦いながら働いていることは、あまり知られていない。ヘアケア家電メーカー「クレイツ」が所属するコスモグループの貝塚弘幸社長 は「プロの手を守ることが、ユーザーの美しさにつながる」という。効率だけを追い求めない、新しい美容のあり方が今、注目されている。美容業界の舞台裏で始まった、作り手と受け手がともに満たされるための取り組みについて、先ごろ開催された「コスモフューチャーカンファレンス2026」の模様から紐解いていく。■「人時生産性時代」を、美容師はどう生きるのか 「問われるのは”人の価値”」 1945年、戦後の荒廃の中で「公衆衛生」という使命を背負って浸透した日本の理美容師という職業は、やがて人々の自己実現を支えるパートナーとして豊かな文化を築いてきた。しかし今、この業界は大きな転換期を迎えている現状だ。物価高や深刻な人手不足、そして労働時間の短縮。これまで当然とされてきた労働集約型の経営モデルに限界が見え始め、多くのサロンが生産性向上という課題に直面している。
2026/05/02