聖飢魔II、40周年経て新章“SEASON II”へ 9月5日東京ガーデンシアター公演をWOWOW 独占生中継
写真:SHINYA YAMADA
魔暦22(2020)年の地球デビュー35周年も、それまで同様の期間限定再集結大黒ミサツアーとなるはずだった。だがこの年、地球をコロナ禍が襲い、通常のツアーは不可能となる。聖飢魔IIにとってこれはまさに「史上最大レヴェルのゼウスの妨害」である。だが、これが却って聖飢魔IIという悪魔集団を活性化させ、より強大な存在に至る契機となったのである。
昨年発布(リリース)した新譜大教典(アルバム)「Season II」を引っ提げて『GREAT BLACK MASS TOUR「SEASON II」』を行なっている聖飢魔IIは、かつての聖飢魔IIとは一線を画す存在だ。彼らは魔暦27(2025)年までの期間限定再集結を繰り返してきた歴史を"SEASON I"と位置付け、新たなフェーズ"SEASON II"に突入している。そしてその「SEASON IからSEASON IIへの移行」の前兆は、魔暦24(2022)年から魔暦25(2023)年に掛けて行なわれた『35++執念の大黒ミサツアー』にあった。
コロナ禍により魔暦22(2020)年の期間限定再集結がヴィデオ黒ミサ&生トーク全国ツアー『特別給付悪魔』(ステージの大画面に聖飢魔IIの演奏する映像を流すビデオコンサート)となり、翌魔暦23(2021)年には再集結の期間延長を行なったもののコロナ禍は収まることなく、映像と生黒ミサ(アコースティック・ライヴ)を組み合わせたヴィデオ&変異生黒ミサ全国ツアー『悪チン集団接種』となった。だが魔暦24(2022)年になると「感染防止対策を施せばライヴ興行も可能」となり、聖飢魔IIは再集結の期間をさらに1年延長して通常の大黒ミサ全国ツアーを敢行。それが期間再延長再集結『35++執念の大黒ミサツアー』だった。
23年ぶりの新譜大教典「BLOODIEST」は信者の期待に応える傑作
写真:SHINYA YAMADA
『35++執念の大黒ミサツアー』ファイナルの魔暦25(2023)年2月15日、東京・国立代々木競技場第一体育館での公演で、デーモン閣下はこう発言した。「再来年はもう40周年だ。約束は出来ない。だがきっと再集結するだろう」 驚きの再集結宣言。これは自然に出てきたものだという。35周年の再集結はコロナ禍によって3年以上の長期に及び、その結果、構成員(メンバー)達の間にバンドとしての確かな結束が生まれた。デーモン閣下、ジェイル大橋代官、ルーク篁参謀、ライデン湯澤殿下、ゼノン石川和尚の5名の構成員から成る現在の聖飢魔IIは、単なる"再集結"ではなく、現在進行形のバンドである――彼らはこの3年余りの月日で、そういう手応えを感じていたのだ。
『35++執念の大黒ミサツアー』を終えた彼らは、代々木での千秋楽から2週間後には早くも新たな教典に向けての準備を始めていた。この時点では40周年で大黒ミサツアーをやるかどうかは未定でありつつも、とにかく何らかの形で教典を出そうという方向で動き始めていたのだ。そしてその結果、40周年の魔暦27(2025)年には新たな新譜大教典「Season II」が発布されることになる。
この40周年に大黒ミサツアーを行なうことは、前年である魔暦26(2024)年9月に発表された。そして、このツアーにおいては体調が懸念されるルーク篁参謀をサポートするためにDamian Hamada’s Creatures(聖飢魔IIの創始者であるダミアン浜田陛下が率いるバンド)のギタリストであるRENOファウストが参加することも明らかになった。
地球デビュー40周年記念 『聖飢魔II vs BABYMETAL〜悪魔が来たりてベビメタる』の開催
写真:SHINYA YAMADA
今、「活動のスケールが大きくなっている」と書いたが、40周年においてそれを端的に示したのが、8月30日(土)と31日(日)にKアリーナ横浜で開催された『聖飢魔II vs BABYMETAL〜悪魔が来たりてベビメタる』だ。
2010年に結成されたBABYMETALは2023年4月よりSU-METAL、MOAMETAL、MOMOMETALからなる新生BABYMETALとして新章をスタート。2024年には世界22カ国通算51公演を行ない、公演総動員数は約101万人。結成15周年を迎えた2025年は6月〜7月の北米ツアーで25公演11万人超を動員し、米『Capitol』とのワールドワイド契約によって8月にリリースしたアルバム「METAL FORTH」は『BILLBOARD』の全米アルバム・チャート初登場9位という快挙を成し遂げている。
40周年の聖飢魔IIと15周年のBABYMETAL。両者に共通するのは音楽ジャンルの枠を超えた存在であること。聖飢魔IIが創り上げた悪魔教の世界観は、その優れた音楽性に裏打ちされて信者達の絶大な支持を集めており、その在り方はどんなヘヴィ・メタル・バンドとも異なっている。一方、世界的にも類を見ない画期的な発想がグローバルに支持されているのがBABYMETALで、言うなればどちらもその在り方そのものが見事な総合エンターテインメントであり、それぞれ"聖飢魔II""BABYMETAL"というユニークなジャンルを創設した唯一無二の存在だ。その二組の"対決"が遂に実現したのが『聖飢魔II vs BABYMETAL〜悪魔が来たりてベビメタる』だ。聖飢魔IIは人類を悪魔化するために地獄からやって来た集団であるのに対し、BABYMETALには「メタルの神"キツネ様"が3人の少女にメタルのパワーを与え、メタル界の救世主(メシア)となるべく召喚された」というストーリーがある。つまり単なる"対バン"ではなく、悪魔と神との直接対決という構図だったのである。そして、この2日間の“対決”は、互いへのリスペクトに満ちた“共鳴”へと両者を導いた。共に協力し合い、世界征服を進めることを誓い合ってステージ後方に去る二組。圧倒的な感動の余韻を残して『悪魔が来たりてベビメタる』は幕を閉じたのだった。
写真:SHINYA YAMADA
かくして"バンドとしての結束"を固めた聖飢魔IIは魔暦28(2026)年5月、自信作「Season II」を引っ提げて「GREAT BLACK MASS TOUR『SEASONII』」に突入した。筆者は6月9日の東京国際フォーラム ホールAでの大黒ミサを拝観したが、その圧倒的なパフォーマンスは現在の聖飢魔IIのバンドとしての充実ぶりを雄弁に物語っていた。既に全公演がソールドアウトとなっているこのツアーのセミファイナルとなる9月5日の東京ガーデンシアター公演がWOWOWで生中継されるというのだから、これ以上の朗報はない。居ながらにして“旬”の、"SEASON IIの聖飢魔II"を体験できるのである。しかも、ここへ至るまで近年の聖飢魔IIが辿ってきた足跡を象徴する重要な公演――『35++執念の大黒ミサツアー FINAL』『聖飢魔II vs BABYMETAL 悪魔が来たりてベビメタる』『THE END OF SEASON ONE』ファイナル――の模様も一気に振り返ることができるのだ。何という僥倖! 我が国が誇るスーパースター聖飢魔IIの偉大さを存分に味わわせてくれる、総てのロック・ファン必見の特番だ。
文:広瀬和生/BURRN!編集長
写真:SHINYA YAMADA
提供:WOWOW