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織田裕二が明かす“来るものは拒まずの姿勢”を貫くスターの仕事観

 俳優として常にトップを走り続けてきた織田裕二。これまでに多くの名作、ヒット作で、正義感と人情、そして揺るぎない信念に満ちた役柄を演じてきた。そんな織田だが、一方ではコミカルな一面をのぞかせるCMや、スポーツ番組MCなど俳優以外の活動にも精力的に取り組んでいる。スターでありながら、ニュートラルな姿勢で幅広い仕事を楽しんでいるかのような織田の「働き方」、現在の境地へ至るまでの心境について聞いた。

初めての主演のときに知った“トップの孤独”

──前作『監査役 野崎修平』を経て、2年ぶりに『連続ドラマW 頭取 野崎修平』(WOWOW)の主演に臨みました。本作への想いをお聞かせください。
織田裕二シリーズものと言いますか、何年か空けて同じ人物を演じることはこれまでにもあったけど、前作とまったく真逆の立ち位置を演じたことはなかったので、おもしろかったですね。前作では、身内をチェックする監査役として下から上へ、頭取に対してもズバズバと問題を突き上げていったわけですが、今回は少なくとも銀行内部には自分より上の人間はいない。「頭取は孤独なんだ」なんていうセリフも出てきますけど、前作との違いを楽しんで演じました。
──“トップの孤独”は、常に座長として現場を引っ張ってきた織田さんの俳優業とも共通するところはありましたか?
織田裕二それは、初めて主演をやったときに知りました(苦笑)。ドラマや映画作りの現場において、主演俳優はある意味で社長のようなトップの立場であって、ドラマであれば視聴率が取れなければ、映画であれば観客動員が伸びなければ、責任を負うのは当然なんです。銀行として進む方向を間違えて社員たちの生活を守れなければ、頭取が責任を負うのと同じ。だから、下の人間たちも「こいつはちゃんと舵取りができるのか?」という目で見てくるわけですよね。だけどあの「頭取は孤独」というセリフは、チームの大切さに改めて気づくための伏線なんです。トップに立つと、どうしても自分がなんとかしなければと考えがちだけど、1人でできる仕事なんてこの世にほとんどないんですから。

──取引先の会社員に「あなたのようなトップの下で働きたかった」と言われる場面もありますが、トップとしての野崎修平の器量はどこにあると思いますか?
織田裕二彼は二世代くらい下の若手をすごく大切にしているんです。下町の銀行の支店長だった頃から一貫して追い求めてきた「真に社会に貢献できる銀行」という理想を、頭取という立場になって実現しようとするわけだけど、社員のなかには利益ばかり考えている人間もいる。たとえ不正をしてでも……。とくにある程度、年齢がいってしまうとそこのマインドを変えるのは難しい。だけど、若手は上司や社風によってどんな色にも染まる可能性に満ちているわけで、そんな彼らに野崎は希望を見出しているんです。

毎日ワクワクしていた6畳一間ボロアパートの下積み時代

──とは言え、頭取としてときには謀略を巡らせる場面も。「野崎さん、変わりましたね」と部下から言われるシーンもありますが、役作りで前作と変えたところは?
織田裕二ベースは変えていません。もちろん立場が変われば見られ方も変わるところもあるだろうけど、彼自身の本質は変わっていないですから。彼は仕事をすることによって幸せになりたいんだと思います。それは国の中枢で影響力を持ちたいだとか、金持ちになりたいだとか、そんなことではない。みんな誤解しているかもしれないけど、(ドラマの舞台の)おおぞら銀行の頭取ってそんなに給料よくないんですよ(苦笑)。前作で国有化されて、今作ではメガバンク化も断って、頭取といっても2年限定ですしね。住んでいる家や車を見ても、だいたい彼の給料は想像できると思うんですけど(笑)。

──お金では買えない幸せを、彼は知っているということでしょうか。
織田裕二人間、最後はそこだと思うんですよ。若い頃、ある先輩に「お前はこの仕事で金持ちになりたいのか? 有名になりたいのか?」と聞かれたことがあったんです。もちろんお金は必要です、ある程度は。だけどすべてを手に入れても、本当に幸せかどうかは疑問がある。というのも当時、僕は6畳一間のボロアパートで一人暮らしを始めた頃で、カーテンを買うお金もなかったから、針金ハンガーに洋服を引っ掛けて窓際に吊るしていたんですね。それでも完全には遮光ができなかったので、下のほうはポスターを貼って。そんな暮らしぶりを「大変でしょう?」と言われることもあったけど、ぜんぜんそんなことなくて。逆に初めて自分の城が持てたことに毎日すごくワクワクしていたんですよ。やっと俺の秘密基地ができた、みたいな感じでね。そこから少しずつお金を貯めて中古のバイクを手に入れたときも本当にうれしかった。
──キャッシュでバーンと買うより、喜びは大きいかもしれないですね。
織田裕二自分の力で少しずつ勝ち取っていく感じがね。このドラマでいうと(小澤征悦が演じる)京極春樹なんて、生まれも育ちもエリートで、すべてを持っている感じがする。だけど、彼が幸せそうではないのはなぜだろう? ということだと思うんですよね。

提供元: コンフィデンス

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