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新会社第1弾『天気の子』で大成功を収めたSTORY・古澤佳寛氏「日本のクリエイティブを世界へ」

映画業界の垣根を取っ払うアニメシーンの開拓者へ

  • 古澤佳寛氏

    古澤佳寛氏

――共同で代表を務める川村元気プロデューサーは実写映画も手がけていますが、御社は実写の企画にも携わっていくのですか?
古澤佳寛日本映画の実写は東宝で作ることになると思いますが、先ほどの『唐人街探案』も実写ですので、海外合作では十分あり得ると思います。企画を考える段階では、アニメにも実写にもなり得るという発想を持っていますので。

――会社として、年間の製作本数や日本と海外の収益比率など数値設定はあるのでしょうか?
古澤佳寛とくにありません。企画自体は何十本もあるので、それを良いタイミングで出していければという考えです。今年は『天気の子』のほかにも、10月に公開の『空の青さを知る人よ』、テレビシリーズも10月期の『アズールレーン』に携わっており、結果的には年間数本になっていくと思います。国内と海外のウエイトも意識していません。

――動画配信サービスがシェアを拡大していますが、御社はメディアにはこだわらない?
古澤佳寛映画には映画の良さ、配信には配信の良さがあるので、こだわりはないです。メディアとしてもぶつかり合わないと思っています。ただ、配信サービスは伸びてはいますが、コンペティティブな状態が崩壊したとたんに制作環境が悪くなる可能性もあるので、企画として偏りすぎない方が良いと思っています。

――新海監督とのタッグは今後も続くのでしょうか。
古澤佳寛新海監督から断られない限り、一緒にやっていきたいですね(笑)。新海監督はキャンペーンの舞台あいさつでも「3年後にまた新作を持ってきます」と言っているんですが、現状はまだ企画は影も形もないです。とはいえ、トロント国際映画祭で監督と話したときも、「次の映画はもっといいものが作れる気がする」と言っていて、お客さんの声を聞きながら、とても客観的に『天気の子』を分析して次につなげようとされています。突出した才能を持ちながら努力を惜しまない。これが掛け合わさった人は見たことがないです。

――STORYという会社を、日本の映像界のなかでどんな位置づけにしていきたいですか?
古澤佳寛現在スタッフは8人で、少人数でやれることは限られていますが、「この人たちと仕事をしたい」と思ってもらえるような企画チームになっていきたい。業界の慣習は一旦横に置いて、無邪気にいろいろなことに挑戦して、業界の垣根を取っ払っていくような事もできればと思っています。今までなかった市場が拡がることで収益が上がるのはとてもいいことです。エンタテインメント業界が明るく楽しくなっていければいいですね。
(文:磯部正和/撮り下ろし写真:逢坂聡)
古澤佳寛氏/STORY inc. 代表取締役社長
Profile/ふるさわ よしひろ
1978年生まれ、東京出身。2000年、東宝入社。映像事業部に所属し、09年にODS事業を立ち上げる。12年、新設のアニメ事業室長に就任し、アニメレーベル「TOHO animation」を立ち上げる。16年、プロデューサーを務めた『君の名は。』が興収250億円の大ヒット。17年9月、川村元気プロデューサーとともにSTORYを設立し、代表取締役社長に就任。東宝・映画企画部にも籍を置く。19年8月公開のSTORY第1弾となる『天気の子』は興収150億円に迫る大ヒットを記録している。

『天気の子』

興収250億円超え、歴代興収4位と記録的な大ヒットを記録した『君の名は。』(16年)に続く新海誠監督の最新作であり、新会社・STORYの第1弾作品として公開された『天気の子』。叙情的な男女の物語を美しい色彩と繊細な言葉で紡ぎ出す“新海ワールド”は国内外問わず多くの人々に支持され、現在もロングヒットを続けている。
公式サイト:https://tenkinoko.com/(外部サイト)
(C)2019「天気の子」製作委員会

提供元: コンフィデンス

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