『ライオン・キング』北米で記録的スタート 映画界を席巻するディズニーの強さと課題
あらゆる北米オープニング記録を樹立
今回のリメイク版『ライオン・キング』は、2017年の『美女と野獣』や公開中の『アラジン』を含む、一連のディズニー“実写”リメイク版とともに語られることが多いものの、実際には高技術CGIによるアニメーション映画。となると、同ジャンルにおいても、昨年のディズニー/ピクサー映画『インクレディブル・ファミリー』(1億8260万ドル)のオープニング記録を超えてトップに立ったことになる。さらに、ジョン・ファブロー監督作としても、2010年の『アイアンマン2』(1億2810万ドル)を超えるトップに躍り出る。
ちなみに、1994年の長編アニメーション映画『ライオン・キング』は、いまだG指定映画(全年齢に適した映画)の北米興収トップに君臨し続けている(4億2270万ドル)。その25年ぶりのリメイク版である今回の『ライオン・キング』は、初めてお披露目されたトレーラーが、ディズニー映画史上最多の再生数となる記録も樹立していた。そんなこともあり、最終興収での新たな記録への期待も高まっている。
『ライオン・キング』評価は賛否両論
もちろん、実際の動物は表情をくるくる変えるものではないのだからと、同作のリアルさを讃える声もある。観客の年齢、オリジナル版への愛着度、アニメーション映画に何を求めるか(リアルさかファンタジーか)など、さまざまな指標によって評価が分かれるのだろう。米映画批評サイト「ロッテン・トマト」のスコアは53%と高くないが、最近は、批評家の評価と一般観客の支持がリンクしないことも多く、興収への大きな影響はなさそうだ。公開初日の観客評価による格付け指標「CinemaScore」はAと上々である。
超豪華キャストの存在も興収につながっているだろう。とくに、シンバ役のドナルド・グローヴァーは、チャイルディッシュ・ガンビーノ名義でエッジーな音楽活動を行いながら、俳優としては『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』などで存在感を発揮。映像作家としては、話題のテレビシリーズ『アトランタ』の原案・製作総指揮を務めるなど、いまや飛ぶ鳥を落とす勢いの人気者。その相手のナラ役がビヨンセとくれば、「2人のデュエットを聴くためだけに、劇場に行く価値あり」というファンがいても無理はない。米『バラエティ』紙のレビューでは、悪役スカー役のキウェテル・イジョフォーも大絶賛されている。