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米興行は苦戦?北米夏興行ラッシュに揉まれるハリウッド新作『ゴジラ』

今作の興行によるモンスターバース計画への影響も?

 では、これまでに公開された3作品が、北米興収で右肩下がりの動きを見せているモンスターバースは、今後どうなるのか? 「バラエティ」によれば、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の製作費は約2億ドル、マーケティング費は1億ドル以上。これらの費用は年々増加傾向にある。製作費が右肩上がりで、興行がその逆という状況は、喜ばしいものではないだろう。ゴジラのスターパワーが炸裂する海外に頼るばかりではなく、モンスターバース発信地である北米でも、興収を上げていきたいところだ。

 こうしたなか、メディア・アナリストのポール・ダーガラベディアン氏は、「同作が過去2本よりも不振だとしたら、(モンスターバースを)再び活性化させ、生き延びさせるためには、クリエイティブ面でのリスクや、怪獣映画ジャンルにおける何か違った視点が必要とされているのだろう」と見解を述べている。

 モンスターバースの4作目としては、2020年に米公開予定の『ゴジラvsキングコング』が控えているが、先日行われたカンファレンスで、ワーナー・ブラザース会長のトビー・エメリッヒ氏は、同作の公開を遅らせる計画を示唆。その理由を「ファンが求めているような“A+”の作品に仕上げるため」と説明した。この決断に、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の興収や評価がどのような影響を与えているのかは定かではないが、ダーガラベディアン氏が指摘するように、モンスターバースの再活性化に向けて、重要な動きがとられるのだろう。

 そのダーガラべディアン氏は同ユニバースへの期待を込めて、こう語る。「もし、『ゴジラvsキングコング』の予告編がよいもので、マーケティングもすばらしく、タイミングも合っていれば、同作でモンスターバースの北米興収を再び上昇させることは可能。ただ、今の段階では、誰にも予測できません。モンスターバースとしてまとめられている以上、運命共同体のようなもので盛衰はつきものですが、だからといって、フランチャイズ展開をあきらめる必要はないのです」。

 公開初日に首位に立ってなお、予想を下回ったと分析がなされ、さらなる飛躍を求められる。それは、ゴジラという存在への期待と敬愛の裏返しともいえるだろう。まだ、ゴジラを日本へ帰国させるわけにはいかないと踏ん張るハリウッドの動きに、引き続き注目していきたい。
(文/町田雪)

提供元: コンフィデンス

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