光石研が語る、自分とは似ていない“渋井直人” 遊べる現場が作り出した好調ドラマ
「あるある」ばかりではないディテールにこだわった世界観
「渋谷直角さんの知り合いから、『このキャラは光石さんだよ』と僕の名前を出していただいたそうで、帯のオファーをいただいたんです。ドラマでは、ダッフルコートと赤いマフラー、クラークスのワラビーブーツでキメてパーティに行ったら、集まった男性がみんな同じ格好というシーンがあるんですけど、僕は実際にああいうダッフルコートを着ているので、もう大笑いしてしまって。ただ、もうダッフルは着られなくなりました(笑)。だって、普段から着ていたら、絶対イジられるでしょ」
光石自身、仕事でかかわる洋服屋や美容師、編集者や映画、ドラマなど映像関係の人たちからは、「あるある」をおもしろがってもらっていると話す。ただし、本作の魅力は「あるある」ばかりではない。
「台本は、原作の世界観に忠実に書かれていて、スタッフが洋服やヘアスタイル、ロケ地などのディテールにこだわりまくっています。みんなが渋井直人をおもしろがって作っている空気がすごく現場にあります。だから、僕はとくに役作りすることもなく、現場に行って台本通りに演じるだけで、おもしろくなるんです」
「よく“渋井直人=光石研”かと聞かれますが、ある部分ではそうかもしれませんが、基本的には違います。僕だったら褒められても絶対に喜ばない(笑)。たくさん失敗してきたから、自分のことを褒めてくる人には『何か裏があるぞ』と考えて、まず疑ってかかる。なるべく浮つかないようにしています(笑)。でも、そこでうっかり乗ってしまうところが、渋井の可愛いところ。僕自身、演じていておもしろいところでもあります。現場にもそんな渋井をイジる空気があるんですよ。初回のワンカット目からスタッフが現場で何度も噴き出していましたから(笑)。みんなその世界を楽しんでいて、笑いが次々に生まれる空気を作ってくれているのを感じます」