高橋英樹、『リーガルV』で“硬派”から“キュート”へ ギャップを武器にイメージ刷新
『リーガルV』での高橋英樹の役どころは、物語に緩急を与えるいいエッセンス
高橋は過去にも他作品でも弁護士役を演じ、法廷に立つ演技の経験は豊富だが、京極のようなキャラクターは「今までやったことがない」とのこと。「新たな人物づくりが面白いですね。ある種天然で、一生懸命生きている姿がかわいく見えればいいな、と思っています。地方に行っても『イメージが変わりました』とか、いろんなことを言われます。この年になって違う自分を表現できるというのは、役者冥利に尽きますよね」と役作りを楽しんでいる様子だ。
大御所という壁が取り払われ、活躍の場が広がる可能性も
こうした『リーガルV』における高橋英樹人気の大きな要因である“カワイらしさ”は、俳優人生50年の多くを日活の任侠ものや時代劇といった、硬派な作品で過ごしてきたからこそ活きる魅力だ。“硬派”な面をベースにした、柔和さや悲哀や哀情も持ち合わせた幅のある演技は、圧倒的な存在感と安心感が感じられる。この演技の幅は、今後どのように広がっていくのか。吉田氏は「まだ高橋英樹の色が強いので、今後もう一皮むける何かが必要」としながらも、「女装するとか殺人犯になるとか。とはいえ庶民層にやっと降りてきた感があるので、威厳のないただの無力なおじさんとか…凡人を演じて欲しいです」と、さらなるギャップを持った役どころに期待を寄せている。
ギャップと幅を武器に、今後もドラマや映画で活躍していくことは間違いないだろうが、高橋の原点とも言える時代劇の集大成として究極の殺陣を、はたまた『男の紋章』シリーズを初めとする任侠映画での姿も堪能してみたいところだ。まずは本作の京極雅彦役でどこまで視聴者を楽しませてくれるのか見届けたい。
(文/榑林史章)