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18年秋改編、テレ朝&TBS中心に「戦略的な微調整」で王者・日テレに攻勢

民放キー局の18年10月期改編は「戦略的な微調整」が目立つ。話題性を狙った新企画のドラマやバラエティの枠移行、報道番組のキャスター替えなど、弱点と強みの見直しが集中して行われている。その背景にはシェア争いの構図の変化がある。4年連続3冠をキープし視聴率トップにいる日本テレビと、追い上げるテレビ朝日、TBSの3局によるせめぎ合いが顕著になってきているからだ。
TBSは『きぼむす』好調の火曜ドラマ、テレ朝は米倉主演の新ドラマで攻め
 民放キー各局の18年10月期改編が出そろった。各局の区分別改編率を見ると、ゴールデン、プライム帯は坂上忍MCの『坂上どうぶつ王国』などバラエティ3番組を投入するフジテレビがゴールデン23.1%、プライム24.5%と、各局のなかで最も高い改編率となった。一方、今回も日本テレビが最も低い改編率になるが、プライムで2年ぶりに新番組となる内村光良MCの『THE突破ファイル』(木曜19時〜)を投入し、新たな動きも見せた。

 日本テレビは全日帯においても無改編傾向が続いていたが、現在放送中の『PON!』(月〜木曜10時25分〜)を終了して新たな生活情報番組『バケット』をスタートすることで改編率を上げた。また全日帯の改編率が最も高いテレビ東京は、木曜19時〜20時のゴールデン帯に編成していたアニメ枠を日曜17時30分〜18時30分に引っ越しさせ、唯一の全日改編率2桁台となった。

民放5局、18年4月期と10月期の改編率の推移

  • TBSテレビ (C)ORICON NewS inc.

    TBSテレビ (C)ORICON NewS inc.

  • テレビ朝日 (C)ORICON NewS inc.

    テレビ朝日 (C)ORICON NewS inc.

 いずれも、「戦略的な微調整」が全体の傾向にある。例えばドラマでは、話題性、視聴率ともに好調なTBSとテレビ朝日は、「バランスの良い攻めと守り」を感じさせるラインアップを発表した。

 TBSは快進撃を続ける『義母と娘のブルース』が放送されている火曜22時の「火曜ドラマ」枠に禁断の恋を描く有村架純主演の『中学聖日記』を投じて攻め、日曜21時の「日曜劇場」枠では3年ぶりに『下町ロケット』を復活させ磐石の体制に。テレビ朝日は、米倉涼子が“医師”に代わり今度は“元弁護士”を演じる『リーガルV〜元弁護士・小鳥遊翔子〜』で攻める一方、不動の人気を誇る長寿シリーズ『相棒』と『科捜研の女』の新作をこれまで通り編成する。

 また深夜帯を中心にドラマ枠を充実させているテレビ東京は、10月から「ドラマパラビ」(水曜25:35〜)を新設、福本伸行原作の『天 天和通りの快男児』をスタートさせる。
バラエティ枠移行、報道・情報系はキャスター総入れ替えも
 バラエティにおいては先の通り日本テレビ、フジテレビが新しい企画のバラエティ番組を開始する動きのほか、他局の状況を精査した枠の改編や移行も目立つ。TBSはクイズ『東大王』を日曜19時→水曜19時に、『坂上&指原のつぶれない店』を日曜20時→19時に入れ替え。テレビ朝日は日曜18時30分〜21時を大幅に改編し、ネプチューンMCの『ナニコレ珍百景』と所ジョージ&林修の『ポツンと一軒家』の2番組を新たに編成する。

 情報・報道系においては日本テレビとテレビ朝日が番組の顔となるキャスター替えを立て続けに発表した。日本テレビは『NEWS ZERO』のメインキャスターを有働由美子に替えて一新させ、『ZIP!』も新たなメインパーソナリティに風間俊介(月曜)などを迎え入れる。

 テレビ朝日は『報道ステーション』の新キャスターに2児の母の顔も持つ徳永有美を起用し、親しみやすさを加えて富川悠太アナとの新コンビで新発進するほか、昼の『ワイド!スクランブル』の新たな仕切りに木下容子アナと小松靖アナを、『スーパーJチャンネル』の新サブMCに気鋭の林美沙希アナを挙げた。
  • 日本テレビ (C)ORICON NewS inc.

    日本テレビ (C)ORICON NewS inc.

 こうした弱点と強みの戦略的な見直しが行われる背景にはシェア争いの構造の変化が起こっていることが大きい。1位を独走していた日本テレビが4月クールで各区分の視聴率において前年を下回る結果となり、後ろには近年、全日帯の年度視聴率2位をキープするテレビ朝日と、バラエティとドラマの好調を追い風に7月期のゴールデン帯が2位で着地する勢いのあるTBSが迫り、シェア争いが激化していく流れが予想される。

 一方で、「ファミリー層の拡大」を改めて方針に掲げ、テレビそのものの価値の見直しにも各局ともに必死である。日本テレビの編成局 編成部長・岡部智洋氏が9月11日の改編説明会で「5年連続の3冠が盤石だとは思っていません。“他局とのシェア争い”、“地上波テレビのプレゼンス”という2つの危機感を持って改編に臨んでいます」と話していた。

 他のメディアとの競争も意識せざるを得ない厳しい時代に対応した改編も必要になっている。

文/長谷川朋子

提供元: コンフィデンス

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