ディーン・フジオカ、『モンクリ』の壮絶な役作り語る「撮影というか拷問でした(笑)」
死生観を考えるきっかけを与えられるような、衝撃的な作品づくりを目指した
ディーン・フジオカ とても光栄に思います。今回は「主演男優賞」という枠ですので僕が代表し賞を受け取らせて頂きますが、この結果はひとえに、最後まで諦めず試行錯誤を繰り返し初志を貫いたチームワークの勝利です。本作品を多くの方に楽しんで頂いた結果が、この度の受賞という形で未来に残ることを心から嬉しく思います。
ディーン 欧米が中心ですが『モンテ・クリスト伯』を原作とした映画やドラマは過去にもあって、僕自身もこれまでにいくつか作品を観てきました。そういった映像作品から受けた印象を大事にしながらも、今回は現代の日本という全く違う時代背景・設定で描いた『モンテ・クリスト伯』でしたから、難しい挑戦の連続でした。現代の日本でどのように「モンテ・クリスト・真海」のような人物を成立させるか、物語に説得力を持たせることができるのか。脚本をいただく前の段階からプロデューサーチーム、監督、演出チームなどと、かなり細かく皆で話をしました。
作詞作曲手がけた主題歌「Echo」は、撮影前に完成していた
ディーン 順を追っていくと、フラッシュモブにはじまり免罪で捕まって、柴門暖としていろんな拷問を受けたシーンでしょうか。撮影というか拷問でした(笑)。拷問中にカメラが回っているみたいな(笑)。撮影は大変でしたけど、あれぐらいしっかり痛みというか、悲運というか、最初に密度の濃いものを皆で作っておいたからこそ、展開が進むに連れて物語に説得力が増したんじゃないかと思います。また、今回は復讐劇ということで初めて人を生き埋めにしたりとか(笑)、普段の生活ではなかなかできないことを撮影の中でたくさん体験させていただきましたね。
――サビのところで「why?」と連呼する部分がありますが、視聴者の皆さんがTwitterなどで『モンテ・クリスト伯』を語る際に、その言葉を文中に入れて盛り上がっていたのが印象的でした。
ディーン それは嬉しいですね(笑)。その言葉でいこうと決めたのは1月中旬、仕事でスイスに行った時に現地の空気に触れて確信したんです。人間誰しも答えが出ないとわかっているのに、「何故だ?」って頭の中で繰り返してしまうことってあるじゃないですか。誰に聞いても答えが返ってこない、出口が見えないような感じと、主人公・柴門暖の運命とがリンクして。1人の無実の人間が冤罪で捕まって投獄生活で一度は息を絶やすものの、復讐をすることが生きる糧となり悪魔に転生して社会に舞い戻ってくる…それを曲の中でもストーリーとして成立させたいなと思いました。ですから、前半は今にも息絶えそうなピアノの弾き語り、そして途中からは、デジタルなウェーブのサウンドを盛り込むことで、運命の嵐に飲み込まれていくような感じを演出しました。
役者としては「受け身」でいることのほうがプラスに感じることが多い
ディーン ここ最近、国外をまわる仕事が続いたのですが、その時に『モンテ・クリスト伯』を観たよ、観ているよ、という声をたくさんかけていただいたんですね。それが僕としてはすごく嬉しくて。良い作品が言語を超えて広がっていく感覚をリアルタイムで味わうことができ、すごく嬉しかったですね。本当にチーム全員で魂を込めて作った作品だったので、そういう思いがいろんなところに届いているんだなと。改めて、やりがいのある仕事をさせていただいているんだなと感じました。
――俳優としての次のステップとして、今イメージされていることや今後演じてみたい役などはありますか。
ディーン 俳優のお仕事をさせていただく時は、実はあまり「こういう役をやりたい!」という主張はないんです。役者としては受け身でいることのほうが、プラスだと思うことが多いというか。ですから、役に関しては良い出会いがあれば良いな、という感じですね。しいて言えば、今まで自分がやったことがないことで、新しい学びがあったら良いなとか、あとは運動や格闘技が好きなので、アクションの作品だったら楽しいだろうなとか、そのくらいかもしれません。
――最後に視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。
ディーン 今回の『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』のように、今現在、日本で作られている作品の可能性っていうものを引き続き応援していただけたら、きっともっと面白いもの、フレッシュなもの、国境を超えて広がっていくようなものが生み出していけるんじゃないかなと思います。今後もいろんな作品、いろんな役に恵まれると良いなと思います。今後とも応援よろしくお願い致します。
(撮影:逢坂聡)