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連ドラ女性プロデューサー対談「地上波ドラマの現状と10年後の未来」

『第11回コンフィデンスアワード・ドラマ』作品賞を受賞した『アンナチュラル』(C)TBS

『第11回コンフィデンスアワード・ドラマ』作品賞を受賞した『アンナチュラル』(C)TBS

 ここ数年、名作と呼ばれるヒットドラマの誕生とともに、毎クール、メディアの話題を地上波・連続ドラマが席巻しており、かつての全盛時代を思い起こさせるほどシーンは盛り上がっている。そんななか、エンタテインメントのメインストリームである連ドラの現状とこの先のあるべき姿をテーマに、ヒット作を数多く手がけ、コンフィデンスアワード・ドラマ賞を受賞している女性プロデューサー3人(小田玲奈氏/日本テレビ、飯田爽氏/テレビ朝日、新井順子氏/ドリマックス・テレビジョン)に語り合ってもらった。

今ラブストーリー作る勇気ある?あまりにもリアリティがなくて

小田玲奈氏 日本テレビ放送網 制作局 プロデューサー
PROFILE/情報番組やバラエティを担当した後、ドラマを手がける。主な作品は『家売るオンナ』『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』『ウチの夫は仕事ができない』など。

飯田爽氏 テレビ朝日 総合編成局 ドラマ制作部 プロデューサー
PROFILE/手がけてきた主な作品は、『ホリデイラブ』『探偵少女アリサの事件簿』『民王』『民王スペシャル〜新たなる陰謀〜』『死神くん』『Wの悲劇』『バラ色の聖戦』など。

新井順子氏 ドリマックス・テレビジョン ドラマ本部 プロデューサー
PROFILE/手がけてきた主な作品は、『アンナチュラル』『リバース』『私 結婚できないんじゃなくて、しないんです』『結婚式の前日に』『Nのために』(TBS)など。
──1月期も話題作が生まれましたが、振り返ってどのような感想をお持ちですか?
小田今期は純粋に視聴者としていくつか観ていましたが、全体的に盛り上がっていたと思います。
飯田とくにネットでの盛り上がりがすごいなと思っていました。ドラマのニュースを見ない日はなかったし、それも宣伝発の記事ではなく、一般の方の発言が記事化されるものも多くて。けっこうみんなSNSでドラマを語り合っているんですよね。
新井『アンナチュラル』最終回の次週に、Twitterで「#アンナチュラル第11話」がトレンド入りしていたんです。なんだろうと見てみたら、視聴者が11話のストーリーを語り合っていて。
飯田それも自然発生的に。そこまで没入させるのはすごいことです。
小田制作側の仕掛けじゃなかったから、盛り上がったんだと思います。テレビにおけるネットとの付き合い方って本当にデリケートですよね。
新井基本的には、視聴者が盛り上がっているのを傍観していたほうがいいのかなと。
飯田ただ『ホリデイラブ』は深夜ドラマで自社宣伝には限りがあったので、いかにネットを味方につけるかが勝負でした。それこそこちらから仕掛けたことも多かったです。その1つが主人公の杏寿がLINEで視聴者とおしゃべりしながら悩み相談をする「AI杏寿」でした。
小田AIも賢くなって、会話もスムーズですよね。でもAIの構築ってけっこう予算がかかりません?
飯田それはあります。でも今回は、あるシーンを2パターン撮っておいて、視聴者が望んでいる展開のほうを使うといった実験的な試みなどもいろいろできました。あとはネット関連だと地味な作業ですけど、番組発のリリースを毎回せっせと出したり。たとえ自発的なリリース記事でも、たくさん並べることで盛り上がっている感は醸成できたんじゃないかと思います。
小田実際、『ホリデイラブ』はすごく話題になってましたよ。とくに松本まりかさんの怪演(笑)。
飯田まりかちゃんは取材稼働をはじめ、本当に協力していただきました。YouTubeで流した(中村倫也と松本まりか演じる)井筒家の特別映像も、手弁当でディレクターの個人パソコンで作ったもので。そういう地道なPRの積み重ねで、TVerやテレ朝動画といった見逃し配信がすごくよかったんです。

──リアルタイムでは見逃したけど、ネットの話題から興味をもって観る人が増えている証拠ですね。
飯田それと内容的にもネットと親和性が高かったのかもしれません。やっぱり不倫のドラマはリビングで家族や夫婦とは観にくいようで。
小田たしかに(笑)。かくいう私もTVerで観ていました。とにかく今期は全体的に企画がバラエティに富んでいて、ドラマファンとしてはすごく楽しめました。ただ、ラブストーリーはなかったかな。
新井王道ラブストーリーはなかったですね。月9の『海月姫』も青春ものという印象を受けました。
飯田ラブストーリーでも、だいたい最近はひねりを加えてきますよね。
小田 だって今、王道ラブストーリーを作る勇気あります? あまりにもリアリティがなさすぎて(笑)。『ホリデイラブ』にしても描いているのはやっぱり女性の自立で、そこに視聴者は打たれたんですよ。
新井 たしかに今の時代、『東京ラブストーリー』のようなドラマは成立しにくいかもしれないですね。だけど観たい人は確実にいて、そういう人は韓流ドラマに流れているんじゃないですかね。私は作ってみたいですよ、泣けるラブストーリーを。

──泣けるといえば、今期は『アンナチュラル』と米津玄師の「Lemon」のハマりぶりに泣いた視聴者も多数で、久しぶりにドラマ主題歌から大ヒットが生まれました。
小田私も買いましたよ! あの曲の入り方、たまらなかったです。
新井曲入りのタイミングは、本打ちの段階からすごく詰めていました。ここにはセリフを入れないようにとか、ディレクターとのせめぎ合いも正直ありましたね。ディレクターがいないところで、選曲家に耳打ちしたりとか。曲が気持ちに乗るように編集し直すこともありました。
小田うわ〜(笑)。でも曲で泣かせる編集って重要ですよね。私、『陸王』でも「ジュピター」のタイミングで泣く準備していましたから。

配信視聴を評価に含めることが未来のテレビ視聴者を育てる

──先ほど『ホリデイラブ』の配信視聴が好調だった話が出ましたが、みなさんはリアルタイム視聴についてどのようにお考えですか?
飯田数字の感覚は、ここ2、3年でさらに変わった気がします。『アンナチュラル』なんて、ここまでみんなが話題にしているドラマだったら、かつては20%いっていましたよ。
小田日テレはドラマに関しては、タイムシフトなども含めた総合視聴率で判断するという考え方が、ここ1、2年で定着しています。
飯田それは早い。テレ朝はやはり世帯視聴率を大事にしているところがあります。
新井それはドラマの数字が良すぎるからじゃないですか?(笑)
飯田それはありますね。とくに事件もの、刑事ものなどのシリーズ作は安定しています。だからターゲット層が他局に比べて広いんです。
小田でも『トドメの接吻』なんかは世帯視聴率はあまりよくなかったけど、若い子はすごく観てくれていたんです。やはりそこをちゃんと評価しないと、「未来の視聴者は育っていかない」という認識が社内でも広がっているような気がします。
飯田そうしないと、あと10年後のドラマの未来ってなくなってしまいますよね。だからテレ朝も一応、ゴールデン・プライムに関してはとにかく世帯、深夜枠だったら配信での盛り上がりも重視しようという割り切り、色分けに変化しつつあります。
小田とはいえ、局で風を切って歩けるのは世帯の数字を取ってるプロデューサーなんですよね(笑)。
新井やはりテレビはスポンサーにもメリットがないといけないですから。当然ながら、購買意欲のある層の10〜50代に観てもらえるドラマがいいわけで。だけど世帯視聴率を取ろうとしたら、60代以上にも観てもらえて理解できる作品にしないといけない。そうすると構成を複雑にして謎を深めたり、難しい用語を使い過ぎないようにしようと考えるようになります。シビアな話ですけど。ただ、『アンナチュラル』はオンタイムで観るより録画のほうが良いと言われることもありました。
小田一瞬も見逃したくないから、録画で観たいんですよね。
新井そうすると世帯視聴率を取るためには、変にじっくり観せるよりも、気軽に楽しめるもののほうがいいのか? という話になってしまう。
小田バラエティの世帯視聴率が強いのはそこですよね。バラエティは録画では観ないですから。
飯田ドラマは予算がかかるけど、その割に実入りが少ない(苦笑)。理屈で言えば、だったらバラエティ枠にしてしまえば、ってなりそうだけど、そうはならないですよね。
小田バラエティが強い日テレでも、受付にバーンと貼ってあるのはドラマのポスターなんです。それはやっぱりドラマって当たるととんでもない波及力を持つし、局のブランドにもなるからです。そこを期待して全社的に応援してくれていると思います。

提供元: コンフィデンス

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