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連ドラ女性プロデューサー対談「地上波ドラマの現状と10年後の未来」

主演俳優を守るという意味でも数字は狙わなければ

──局のブランドといえば、テレ朝には『相棒』『科捜研の女』という盤石なドラマがあります。
新井そうそう、『アンナチュラル』って何かとテレ朝ドラマの登場人物がセリフに出てくるんです。右京さんとか沢口靖子さんがどうしたとか。でもそれって、右京さんといえば『相棒』の登場人物だと誰もがわかっていないと成立しないんです。
小田本当にすごいことだし、何シーズンにも渡って放送できることは自分にとって理想のドラマの形です。連ドラをやっていていつも思うのが、なんで10話で終わらせなきゃいけないの? ということ。ようやくキャラが乗ってきたところで終了になってしまう…。『ホリデイラブ』も壇蜜さんや平岡祐太さんにも、もっと大暴れしてもらいたかった(笑)。
飯田たしかにもう少し描きたかったところもあったんですけど、全部やるとワンクールでは収まりきらないですよね。
小田日本ドラマの海外番販を阻んでいる原因の1つに、話数の少なさは確実にありますよ。とくに中国は最低、30話ないと厳しい。『家売るオンナ』も『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』も中国でリメイクが決まっていますが、どちらも30話以上になる予定です。『Mother』もトルコで30話くらいのリメイクがヒットしていて、オリジナルではなくそっちが世界で売れていたりしますから。
飯田たしかに世界の連続ドラマは話数が長いものが普通ですよね。
新井ただ、役者さんがそれをやりたいかは別の話じゃないですか。
小田そうですね。とくに若い役者さんは新しい自分を見つけたいという想いもあるだろうし、難しいかもしれない。でも、シリーズものの連ドラってもっとあっていいと思うんです。

──俳優の話が出ましたが、最近の連ドラはキャストと企画、どちらが先に決まることが多いですか?
飯田半々くらいですかね。ただやっぱり企画ありきで、この役はこの俳優がやったら絶対におもしろくなる、と組み合わせていったほうが当たることが多い気がします。そのためになるべくたくさん舞台や映像を観るようにしています。
小田キャスティングはプロデューサーの醍醐味ですもんね。
新井私が担当するものは、完全に企画ありきでキャスティングします。もちろん想定はしますが、ハマる役者さんのランクを落とすくらいならやらないほうがいいと。だから企画は通っているんだけど、主役が決まらなくて飛ぶものもあります。
飯田編成方針が潔い! でもたしかに女優さんは、けっこう返事に時間がかかりますからね。
新井今の時代、テレビドラマの主演を張るのにすごく勇気が要りますからね。当たれば万々歳だけど、外れたときの叩かれようが主役に一点集中しますから。だから最近は、トメや二番手なら、という方もいらっしゃる。
小田いますよね。びっくりしたのが、「この企画なら傷つかなそうだからやります」とおっしゃった方がいて。よっぽど傷ついてきたんだろうなと気の毒になりました。
飯田一方で数字なんか関係ない、おもしろい台本だから出演するという方もたくさんいます。ネットでも最近は「数字はよくなかったけど、満足度は高かった」みたいな記事もよく出るし、いろいろな指標ができたことはありがたいです。
小田ただやっぱり俎上に挙げられるのは主演俳優なわけで、彼らを守る意味でも数字はちゃんとねらわなきゃいけないと思っています。でも0.1%下がった程度で記事にしないでほしい。それ誤差ですから(笑)。
(文:児玉澄子)

提供元: コンフィデンス

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