回春ネオクラシック
一度はカタログから消えた「カワサキW800」が、大がかりな仕様変更を受けてカムバック。カスタムバイクを思わせるクールな「ストリート」モデルは、その乗り味も若々しさにあふれていた。
寝耳に水の商品展開
カワサキの「W800ストリート」は、2019年3月に販売が始まったネオクラシックモデルだ。2016年までW800の名でラインナップされていたが、厳しさを増す排ガス規制を前にして一度ラインナップから消滅。しばらくの空白期間の後、事実上のフルモデルチェンジを受けて復活したのである。
今回の記事を書くにあたり、用意されたマットブラックの車両に乗ったのは2019年10月初旬のことだ。その印象は良好なもので、動力性能になんら不満はなく、質感やライディングポジションに関して要望がいくつかあった程度。それらも個人的な好みの範囲におさまるものだった。
そのままツラツラと書き連ねていけば、ごく素直な、そしてポジティブな原稿になったに違いない。空冷2気筒という形式を残してくれたこと自体、大いに称賛されるべき姿勢だからだ。
ところが、これはまったくの偶然なのだが、W800ストリートの原稿締め切りの数日前に、東京モーターショー2019のプレスデーが開催された。そこでカワサキは3台のニューモデルを世界初公開。そのうちの1台に新型W800があった。つまり、“ストリート”の名を持たない別バージョンである。
いや、今にして思えば浅はかだった。3月の時点で、なぜ車名にわざわざストリートと付け加えたのか。そこに疑問を持つべきであった。その語感には若々しさがあり、ブラックアウトされたエンジンや燃料タンク、フェンダーはそれに見合うもの。なるほど、ユーザー層の拡大を図っているんだな、くらいの認識だったのである。
その認識は先の試乗時点でも変わらず、「ベベルギアのカバーは黒よりメッキの方が“らしく”ないか? そう思うのは自分がアラフィフだから?」などと思いつつ、原稿を書き始めたところに新型W800である。いやもう、そのタイミングもさることながら、W800ストリートで感じた「ここがもう少しこうだったら」という思いが、すべてかなえられているのだからたまらない。...