和して同ぜず
新型「トヨタ・スープラ」の中でイチオシのグレードだと、開発テストドライバーが口をそろえる「スープラSZ-R」。ワインディングロードで試乗してみると、その評価に納得できる楽しさが伝わってきた。
ビーエム任せにはしていない
新型スープラの開発でマスタードライバーをつとめたヘルフィ・ダーネンスさん、そして最近のシリーズ広告『トヨタイムズ』でおなじみのベテラン評価ドライバーの矢吹 久さんに「自分でスープラを買うなら?」とたずねたら、2人とも即座に「SZ-R」と答えた。今回試乗したスープラはそのSZ-Rである。
BMWとの共同開発で生まれたとされる新型スープラを「BMWにつくってもらっただけ」と切って捨てる口悪いネット民も少なくない。それはまるでウソではないが、実態はその言葉から受ける印象とはだいぶ異なる。
トヨタ側で実際にスープラの開発に従事したのはデザイナーとテストドライバー、そしてトヨタの社内呼称では“Z”と呼ばれる商品企画担当の人たちである。スープラ担当のZも大半が技術者出身であり、ありとあらゆる部分でトヨタの意向を実現する仕事をしたが、今回はトヨタ側では図面を引いておらず、設計の実作業はすべてBMW側が担当した。その意味では、新型スープラはたしかにBMWにつくってもらったクルマである。
ただし、実設計のスタート以前にトヨタ側のZたちは「直6エンジンでFR。仮想敵は『ポルシェ・ケイマン』。ホイールベース/トレッド比は1.55以下、重心高はこうで車体剛性は……」といった企画仕様のキモとパッケージレイアウト要件を提示して、それについては一切ゆずらなかったという。内外装デザインも基本は100%トヨタ製で、それを実際のカタチにするBMW側からは、たとえば「スチールのリアフェンダーをここまで絞るのなら外注の必要がある」といった条件がつけられることはあったものの、「できない」と跳ね返されることはほぼなかったそうだ。
そして性能開発の段階になると、スープラと「Z4」とは別チームとなり、開発作業はダーネンスさん率いるトヨタチームとBMW側スープラ担当で進められた。以降、Z4の動向はトヨタのあずかり知らないところとなる。...