究極の快感
ジュネーブモーターショーでお披露目されたフェラーリのスペシャルモデル「488ピスタ」に公道とサーキットで試乗。モータースポーツで得た技術を注ぎ込んで徹底的な軽量化とパワーアップを果たした最新モデルは、圧倒的なスピードと走りの快感をあわせ持っていた。
その名は“サーキット”
F1レースに飽くなき挑戦を続けながら、同時にスーパースポーツカーの市場を牽引(けんいん)し続けてきたフェラーリ。「速いモデルしか作らない」というこのブランドの作品群の中にあっても、さらにスピード性能を際立たせる特別なリファインが施されたV8エンジン搭載モデルには、「スペチアーレ」「スクーデリア」等々とサブネームが与えられてきた歴史がある。
そうした特にエクスクルーシブなモデルの最新バージョンが、今年のジュネーブモーターショーで華々しく発表された488ピスタ。ちなみにピスタとはサーキットの意であるという。488サーキットでは何ともサマにならないが、488ピスタとなると途端に名称そのものにダイナミックなスピード感が宿るように思えるのは、「イタリア語の役得」とでもいうものだろうか!?
新しくも特別なフェラーリがまだ街を走り始める前の段階で、これもまた特別に、そのプリプロダクションモデルへと触れる機会を得ることができた。舞台はイタリア北部の町マラネロにある、本社隣接の“フィオラノ”のテストコースとその周辺の一般道。
というわけで、最寄りであるボローニャの空港から本社差し向けのシャトルへと乗り込んだ後、幹線道路を外れ、早春の緑が広がる田舎道を走ること延々1時間強。高速道路すらつながっていない、まさに“イタリアの片田舎”のようなロケーションに、この国きっての著名なブランドでもある跳ね馬マークのスポーツカー会社は、想像していたよりもはるかに大きな規模で居を構えていた。...