新世代Xの要
BMW「Xシリーズ」の中核をなす「X3」がフルモデルチェンジ。先進の安全技術を備え、全方位的な進化を遂げた新型の出来栄えとは? 走りの粋を極めたディーゼルエンジン車「xDrive20d Mスポーツ」に試乗した。
BMWの売れ筋モデル
今や総合デパートのBMW。彼らがセダン/ワゴン/クーペ/コンバーチブル、時々スポーツカーという欧州のコンサバティブなプレミアムブランドの商品ラインナップから一歩踏み出したのはSUVの「X5」からだった。そしてその小型版のX3で味をしめた。こう書くと響きがよくないが、だからこそ今も安泰でいられるわけだ。かつてSUVをバカにしていたプレミアムブランドの多くは、今ではそのほとんどが手のひらを返すか、手のひらを返すのが遅れてどこかに飲み込まれた。
現状、BMWの販売台数の3分の1がXシリーズで、Xシリーズの2分の1がX3だそうだ。つまりX3は販売台数の6分の1(利益でいうと多分それ以上)を担う大事なモデルなのである。そのX3がフルモデルチェンジを果たし、このほど日本へ導入された。
新型のエクステリアは、以前からガラリと変わったということではなく、冒険を避け、手堅くまとめた印象だ。彼らが得意な、新しさを感じさせるというよりも旧型を古く見せるスタイリングだ。キドニーグリルは他のモデル同様、順調に成長した。ヘッドランプユニット、リアコンビランプのデザインが現行「5シリーズ」あたりに近い。カッコいいけれど、「X1」やこれから出る「X2」よりも立派でなければならない一方で、よりスタイリッシュであるべき「X4」の邪魔をしてもいけない……というデザイナーの苦労が見て取れるような気もする。...