魅惑のネオアメ車
ドナルド・トランプ米大統領の圧力のおかげで(?)新しい「日産ムラーノ」の国内導入が決まった。日本を留守にしていた約11年の間にどう変わったのか、まさに「朋有り、遠方より来たる」の気分だ。本格導入よりもひと足早く北米仕様車の仕上がりを試した。
保安基準変更で輸入が決定
「おかえり。大きくなって帰ってきたね……」
懐かしい気持ちになった。日産ムラーノに乗るのは、たぶん2004年以来だと思う。もちろん、前に乗ったのは初代モデルだ。アメリカ生まれのクロスオーバーSUVという斬新なイメージをまとっていた。1998年に「トヨタ・ハリアー」が発売されていたものの、まったく異なるキャラクターを持つアメリカンなスタイルが注目された。
アメリカで2002年に発売されると日本でも熱望する声が湧き上がり、予定外の導入が決まった。2008年に登場した2代目モデルは2015年で生産終了。3代目モデルは日本での販売が見送られた。2025年に4代目となった新型は北米限定とされていたが、2026年3月に日本に輸入されることが発表される。2月に国土交通省が創設したアメリカ製乗用車の認定制度を受けての決定だ。トランプ大統領に「日本でアメリカ車が売れないのは非関税障壁があるからだ!」と圧力をかけられると、日本政府はさしたる抵抗もなく了承。道路運送車両の保安基準を変更して、アメリカ基準で安全が認証された乗用車は日本国内での追加試験が免除されることになった。
何だか情けない対応だとも感じるが、各メーカーは素早く反応する。トヨタは「カムリ」「ハイランダー」「タンドラ」、ホンダは「パスポート」「アキュラ・インテグラ タイプS 」の日本導入を発表した。トヨタのニュースリリースには「よりよい日米貿易関係に貢献」との文言があり、政治的決定であることを隠していない。いずれも本来は日本で売ることを考えていなかったモデルであり、大きく販売台数を伸ばすことはないだろう。
ニッチな商品なのだから、日本向けに大きな仕様変更を施すことはできない。ムラーノはテネシー州のスマーナ工場で生産された左ハンドルのモデルが輸入される。ウェブサイトには「一部米国基準に則った仕様となっております」「ご購入・ご使用に際してご留意いただきたい事項があります」との注意喚起があった。...