自己肯定感を高めよう、ありのままの自分を受け入れよう――書店にもSNSにも、そんな言葉があふれています。けれど、その心地よさが、思わぬ落とし穴になることもある。話題の書『AIで終わる人 AIで化ける人』(中平健太・著、ダイヤモンド社)から、伸び続ける人の考え方を読み解く。
「今のままで十分」と思った瞬間に
「自分はこれで十分やれている」「今のやり方が性に合っている」
そう感じて、ほっと一息つく。それ自体は、決して悪いことではありません。
けれど、その満足が長く続くと、人は新しい情報を取り込むのを、いつのまにかやめてしまいます。
今の自分を“完成した城”だと思って守りに入ると、城壁の外で何が起きているかが、見えなくなります。
その間にも、技術は驚くほどの速さで進み、昨日まで「すごい」とされたスキルを、次々とありふれたものに変えていく。
本当に怖いのは、自信がないことではありません。
「今の知識やスキルのままで、この先も戦える」と、信じて疑わないことのほうです。
目指すのは「完璧な自分」より「進化する自分」
では、どう構えればいいのでしょうか。
ヒントになるのは、「完成」を前提にしない、自分の捉え方です。
AI時代に目指していくべきスタンスは、一度作って終わりの「完璧な自分」ではなく、常に更新され続ける「進化する自分」なのではないでしょうか。
昨日までの正解に固執せず、自分の能力や知識を常に疑い、足りない部分は柔軟に書き換えていく。
ソフトウェアに完成形がないように、自分のことも“ずっと更新され続けている途中のもの”と考えてみる。
ここで大切なのは、否定するのは「人格」ではなく「機能」だ、という線引きです。
「資料作成が遅い自分はダメだ」と落ち込む必要はありません。
「資料作成という作業のほうは手放そう」と、切り替えるだけでいいのです。
そしてもう一つ。
昨日の自分を疑えるのは、「自分なら変われる」という土台の自信があるからこそ、です。
ありのままにしがみつくのでも、自分を責め続けるのでもなく、軽やかに脱ぎ替えて前へ進む。
その柔らかさこそが、これからの本当の強さになっていくのではないでしょうか。
(本記事は、書籍『AIで終わる人 AIで化ける人』を一部抜粋、編集したものです。)