消えた主演俳優
「ホンダ・インサイト」が電気自動車(BEV)として復活! ……というよりは中国工場製BEVにその名が与えられて日本にやってきた。さまざまな事情により、国内で販売されるのはわずか3000台のみ。日本人は“限定”に弱いとされるが、果たしてこの場合はどうか。
狂ったシナリオ
ホンダのBEVのインサイトについて、あらためておさらいすると、このクルマはまず、「e:NS2」の名で、2024年4月に中国で発売となった。インサイトはその日本仕様で、e:NS2と同じく中国は武漢の東風本田の工場で生産されて、日本に輸入される。日本では3000台の限定販売である。
激しい技術競争と価格競争の真っただ中にある中国BEV市場では、日本を含む国外メーカーの苦戦が伝えられており、それはホンダも例外ではない……。というか、トヨタや日産以上に厳しいのが現状のようだ。e:NS2もスタイルちがいの「e:NP2」とともに中国市場のど真ん中で勝負すべく開発された戦略BEVだが、デビュー直後から「販売台数としては低位に推移してしまっている」のは、三部敏宏社長みずからも認めるところだ。
それを受けて、今回の日本発売も中国での販売不振を補てんするためか……と皮肉るメディアもあるが、それはちがう。e:NS2が(中国から)輸出されることも、その仕向け先のひとつが日本であることも当初から計画されていた。また、2027年に国内発売を予定していたBEVの「0シリーズ」が登場するまでの地ならし、つゆ払い……というインサイト公開時に説明された導入理由も、まったく正しい。
しかし、その0シリーズ(の「サルーン」と「SUV」)がインサイトの国内発売直前に、まさかの開発中止となってしまった。今回のメディア向け試乗会でお話をうかがったインサイトの開発責任者の小池久仁博さんも、それについては「われわれも驚きました」と素直に困惑した表情だった。
小池さんによると、中国におけるe:NS2(とそのスタイルちがいのe:NP2)の販売不振の理由はハッキリしているという。ずばり、先進運転支援システム(ADAS)とインフォテインメントで、中国でのライバルに後れを取ったからだ。...