こだわりの第1号
スズキが投入する初の量販電気自動車「eビターラ」。発売前のその車両に、早くも試乗する機会を得た。トヨタと共同開発したというフル電動コンパクトSUVは、どのようなクルマに仕上がっているのか? スズキの世界戦略車らしい、骨太な走りを報告する。
スズキのEV戦略を担うグローバルモデル
eビターラはスズキがゼロスタートで開発した初めてのBEVだ。2024年11月に欧州(参照)で、2025年1月にインドでお披露目され、同年春よりインドのグジャラート工場で生産を開始し、夏以降に欧州、インド、日本市場に順次展開するとアナウンスされていた。
この一連の時程の直前となる2024年10月末に発表されたのが、スズキとトヨタの電動車領域での協業深化だ(参照)。その具体例として、スズキ開発のBEVをトヨタにOEM供給するという項目が挙げられていた。日本では既にディスコンとなった「イスト」の流れをくむBセグメントクロスオーバーとして、トヨタが欧州やアフリカで展開していた「アーバンクルーザー」。2024年11月に欧州で発表されたそのBEVモデルこそが、eビターラのOEMということになる。
eビターラのサイズは、全長×全幅×全高=4275×1800×1640mm。全長と全幅については「フォルクスワーゲン・ゴルフ」とほぼ同じだが、ホイールベースは80mmも長い2700mmとなる。この辺りがBEV専用プラットフォームならではのディメンションといえるだろう。おかげで、現物は写真の印象以上に鼻が短くて胴が長い。こんな動物、アフリカの沼地にいそうだよなぁと、そんな印象でもある。
こういうプロポーションでも見栄えよく形づくるためにも、電池を床に敷きながら最低地上高を稼ぎ出すためにも、タイヤの外径は大きくせざるを得ない。そして自重を支えるべくロープロファイルでケース剛性が高く、でも転がり抵抗は低く……というのが、BEVのタイヤを選定するうえでの悩みどころだ。というわけで、eビターラもスズキのクルマとしてはかなりマッシブなサイズのタイヤを履いている。車重は搭載バッテリー容量やモーターの数によって異なるが、発表値で1700〜1890kgと、他のBEVと比べれば車格相応か若干重いくらいのところ。ここがスズキ十八番の「小・少・軽・短・美」といかないのは、後述するアーキテクチャーや搭載バッテリーの関係もあるのかもしれない。...