たゆまぬ進化
「レクサスRZ」のビッグマイナーチェンジモデルが登場。新たなステアリングシステムを採用し、電池やモーターなどの主要なパーツがごっそりと新しくなったというのだから、なるほどビッグだ。国内での発売を前にポルトガルで進化のほどを探ってきた。
7年がかりでモノにしたステアバイワイヤ
レクサス初の電気自動車(BEV)専用設計車両となるRZが登場したのは2022年のこと。翌2023年に日本でも発売した。仕向け地別の販売は欧州がトップで北米が続き、日本は苦戦しているという。
これをもって外野がBEV発展途上国とディスるのは的外れだろうが、レクサス側も購入者向けに家庭用普通充電器の無料設置や、外出先での充電利便性の向上など、さまざまな手だてを模索・実践しているところだ。直近ではポルシェやアウディが国内で構築するプレミアムチャージングアライアンス=PCAとレクサス側との充電ネットワークの相互利用開始が延期されたが、これはPCA側の海外サプライヤーのソフト開発遅延が原因とのことで、2026年3月をメドに仕切り直すことになるという。
そんななか、レクサスは2025年度内に欧州でBEVの新モデルを3車種発売するというプランを3月に発表した。そのうちのひとつがこのRZのマイナーチェンジ型ということになる。加えて4月の上海ショーでお披露目された新型「ES」と、さらにまだ見ぬ1モデルが控えているということになるのだろう。
新しいRZのトピックは、そのほとんどが中身的なところにみてとれる。とりわけ際立っているのがステアバイワイヤ=SBWの採用だ。技術的には「日産スカイライン」が2013年に実現していたものだが、冗長性確保のために3系統のバックアップとともに、ステアリングシャフトは残しながらクラッチで切り離すという物理的な仕組みが採用された。対してRZはステアリングとラック部のモーターとの間に物理的な接続を持たず、完全に電気信号で制御される仕組みだ。発表当初は量産車世界初採用になると目されていたが、「テスラ・サイバートラック」がZFのシステムを採用し、その称号は譲るかたちとなった。
ちなみにレクサスがSBWの開発に費やした時間は約7年に及ぶという。商品としての冗長性やロバストネスの構築はもちろんのこと、いかに人間の感覚に違和感なく調和し、自然に振る舞えるかという点については、散々場数を踏んで地道な検証を重ねている。それこそがクルマ屋の仕事の核心ということになるだろうか。結果として操舵角は左右各150度から、初期ゲインを緩めながら持ち替えの必要なく転舵できるギリギリの200度へと再設定され、それに合わせるかたちでヨーク型ステアリングの形状も変更されている。...