ハイパフォーマンスのその先へ
“FF世界最速”を目標に掲げ、新型「ホンダ・シビック タイプR」がいよいよ登場。聖地・鈴鹿サーキットで体感したそのドライビングダイナミクスは、意外にも“優しさ”を感じさせるものだった。ホンダのスポーツイメージを担う、フラッグシップの走りを報告する。
まずは乗り心地のよさに驚く
いよいよスポーティーな現行シビックの本丸・大本命といえる、タイプRに試乗することができた。それもホンダの聖地、鈴鹿サーキットでだ。折しも現場は3年ぶりとなるF1日本グランプリに向けた準備の真っ最中であり、私たちメディアは西コースのパドック裏へと導かれた。
パルクフェルメ(というかフツーの駐車場)に用意されたタイプRは、全部で6台。サプライチェーンが混乱をきたしているなか、これだけの台数を確保するのも大変だっただろう。ただ、その姿は以前にたっぷり確認できていたため(参照)、特別な感動はなかった。ふくよかなフロントフェンダーとそこに収まる大径タイヤ、リアハッチにそびえるウイングがその存在を強く示していたけれど、全体の印象は相変わらずスマートだ。先導車として用意された先代モデルとのコントラストも、余計に現行タイプRをおとなしく印象づけたのかもしれない。個人的には、もうちょっとボディーパネルの面が出ていれば最高だった。あとやっぱり、羽は要らない。
かくして2度目の出会いにあまり新鮮さはなかったけれど、走りだしたらいきなり驚いた。予想をはるかに超えて、乗り心地がよいのである。今回その足もとには、オプション設定される「ミシュラン・パイロットスポーツ カップ2コネクト」が履かされていた。春先に鈴鹿でワークスドライバーの伊沢拓也選手がアタックした際と同じ(参照)、ホンダの認証タイヤだ。
265/30ZR19サイズの幅広・低偏平なタイヤを履いたタイプRは、コースインするまでの荒れた砂利道を、あまりにも普通に走った。カップ2が標準タイヤの「パイロットスポーツ4 S」よりソフトな可能性はあるが、それにしてもサイドウォール剛性の高さからくる小刻みな横揺れまでもが抑え込まれていたことには、ちょっと驚きを隠せなかった。...