今やポルシェの大黒柱
発表から7年、その後のマイナーチェンジからもはや2年半が経過した2代目「ポルシェ・カイエン」。もはや円熟の域に達した感のある同車は今、われわれにどんな走りを見せてくれるのだろうか。スポーティーな「GTS」グレードのステアリングを握った。
正直、“シンパ”ではなかった
シュトゥットガルトのポルシェミュージアムの面白いところは、結局日の目を見なかったプロトタイプも展示してある点だ。市販されなかったのだから商品としてはいわば失敗作かもしれないが、それを正々堂々と並べてあるおかげで試行錯誤の過程がよく分かるし、そもそも他とは違うその姿勢が立派だと思う。「911」のホイールベースを延長した奇妙な4枚ドアモデルなどを見ると、ポルシェが企業としてごく初期の頃から911以外のモデルを生み出そうと苦労してきたことが、とりわけフル4シーターの主力モデルを模索してきたことが理解できるのだ。そんな彼らが21世紀になってついに掘り当てた鉱脈がSUVのカイエンである。2002年にデビューした初代カイエンのヒットが、高性能プレミアムSUVに向かう世の潮流を決定的なものとしたのはご存じの通りである。
もっとも、当時の私はカイエン推進派ではなかった。せっかくポルシェを手に入れようというのに、いったいなぜ、わざわざカイエンを選ばなければならないのか。世界で最も尊敬されるスポーツカーブランドがなぜ、重く巨大なSUVに手を出さなければいけないのか。古典的というよりも頭が固い守旧派オジサン世代の意見であることは重々承知だが、やはりそう思わずにはいられなかったのである。そのうえ、実際のカイエンにも4ドアモデルを作り慣れていない“隙”が散見された。走れば有無を言わせずに速く、特に「カイエン ターボ」のパフォーマンスは驚異的で、巨大なマスを破綻なくまとめ上げたポルシェの手腕には感心するほかなかったが、それでもゆっくり滑らかに走ることより、オンロードでただただ速く走ることが得意という4WDには懐疑的だったのである。瞬発力はそれほどでなくても快適なほうが平均速度は高くなる、が持論の私としては、カイエンではなくたとえば「レンジローバー」を薦めたものである。...