余裕のつわもの
2021年の発表以来、世のスポーツカーファンを沸かせてきた新型「フェアレディZ」が、いよいよ公道を走りだす。果たしてどんなクルマに仕上がっているのか? MT車とAT車の両方に試乗して確かめた。
成熟したベースを生かして
新型フェアレディZの型式名称は「RZ34」。それは先代にあたる「Z34」との連続的関連、すなわちマイナーチェンジを意味する。日産の正式な表明でも、新しいZはそういう立ち位置だ。
が、その関係性は「フォルクスワーゲン・ゴルフ」の5〜6型、あるいは7〜8型のようなものともいえる。確かにシャシーのベースはZ34ではあるものの、パワー&ドライブトレインの大半や電装アーキテクチャーは別物、部品番号レベルで言えば8割以上が新しいというから、フルモデルチェンジを唱えたところで反論はなかっただろう。が、あえてマイナーチェンジとしたことが、結果的には「スイフトスポーツ」に迫る馬力単価につながってもいる。フルモデルチェンジで認証をやり直すような話だと、こんな値札にはおさまらなかったはずだ。
しかし、マイナーチェンジの理由はそんな打算的なものだけではない。もとを正せば「Z33」時代を源流として、素性も弱点も調べ尽くされたFR-Lプラットフォームも、現代的な知見に沿って手当てを加えればまだまだ戦える。それどころか、成熟した状態を出発点にできるぶん実地での開発にも時間が費やせ、結果として別の骨格よりもいいものが供せる。そんな思惑があったという。それはもちろん、市井のパーツサプライヤーやチューニングショップとて同様だろう。
新しいZのラインナップは標準(フェアレディZ)に「バージョンT」と「バージョンS」、「バージョンST」を加えた4つのグレードで構成されている。スポーツを示すSは走りの装備を充実、ツーリングを示すTは快適装備を充実、そしてSTは両取りの最上位グレードと、このあたりの振り分けは先代と変わらない。ちなみにバージョンSは6段MTのみ、バージョンTは9段ATのみ、ほか2グレードはMTとATの双方から選択できる。全9パターンの外装色はグレードを問わず選べるのがうれしい。
ちなみに標準グレードを軸とする装備の差異は、バージョンSが19インチタイヤ&ホイール、対向4ピストンアルミキャリパーブレーキシステム、機械式LSDを標準装備。バージョンTには本革&スエードファブリックのコンビ内装や両席パワーシート、8スピーカーのBOSEサラウンドシステムが標準装備となる。エンジンやサスは全グレード同じと、至ってシンプルだ。...