異例の国民車
フォルクスワーゲンの「ティグアンR」は0-100km/h加速をわずか4.9秒でこなすという快速SUVだ。最高出力320PSの2リッターターボエンジンと左右後輪間のトルク配分も可能にした新しい4WDシステム、さらに35偏平の21インチ(!)タイヤが織りなすその走りを味わってみた。
新しい4WDシステム
「ゴルフ」一族のマジメで地味な小型SUV。というのがティグアンに関する筆者の認識で、それゆえ目の前のティグアンRは、目の前にあるというのに、現実味が薄い感じがした。VW自身も2020年11月、現行ティグアンの4年目のマイナーチェンジで、この高性能モデルを新たに登場させた際、「サプライズ」という言葉を使っている。
ティグアンはそもそもゴルフと同じMQBプラットフォームだから、その気になれば簡単に、とは言わないまでも、仕立てる材料はそろっている。なるほど、この手があったか! という意味でも、確かにサプライズである。
VWのSUVとしては初の高性能モデル用に選ばれたエンジンは、新型「ゴルフR」とも共通の最新2リッター直4直噴ターボ、社内で「EA288 evo4」と呼ばれるスポーツユニットの最新版である。ピストンや高圧インジェクションバルブ、ターボチャージャーなどを改良することで、最高出力は先代ゴルフR(第7世代の最終型)より10PS強力な320PS、最大トルクは同20N・mアップの420N・mを絞り出す。
ちょっと前ならV8自然吸気エンジン並みの大パワー&トルクは、7段DSGを介して4輪に配分する。4WDのシステムはまったく新しい。前後トルク配分だけでなく、リアの左右輪のトルク配分も連続的に変化させ、ハンドリングのアジリティー(敏しょう性)を向上させているというのだ。
前後トルクは、低負荷時には100%前輪に配分して燃費を稼ぎ、発進・加速時には最大50:50にまで後輪への配分を増やして、安定性を確保する。リア左右輪へのトルク配分は「Rパフォーマンストルクベクタリング」と名づけられたシステムが担当する。...