いい人でいいじゃないか
「パサートヴァリアント」といえばフォルクスワーゲンのモデルラインナップのなかでも、特に“質実剛健”なイメージの強いモデルだろう。今回はその最上級グレードにして「カッコよさ」を強調した「TDI Rライン」に試乗。果たしてその印象やいかに!?
迷いがみえる
ダッシュボードの中央、新品のシャツのようにピシッとそろったエアアウトレットの間にハザードスイッチが設けられ、その上に「PASSAT」のロゴが掲げられているが、何かのスイッチを隠しているわけでもなく単なるエンブレムだ。こんなに目立つ一等地に車名を掲げなくてもいいんじゃないか、というより、さすがにこれでは芸がないというか、現在のVWの迷いを象徴しているように感じた。ご存じの通り、マイナーチェンジ前はここにアナログ時計がはめ込まれていた。プレミアムを目指す8代目パサートの象徴のように言われていたと記憶しているのだが、マイナーチェンジで早々に廃止されてしまったというわけだ。実際にはそこに時計があってもなくても構わないし、ハザードスイッチが目立つ場所に設置されていることにもちろん文句があるわけではないが、短い間にあっちこっちにブレてはせっかくの狙いが定着しない。なんだか重箱の隅をつつくようだが、一体何をしたかったのか? と受け止められても仕方がない。
この業界でもしばしば耳にする言い回し、「いい人なんだけどねえ……」の代表格がパサートではないだろうか。1973年からの長い歴史を持ち、累計販売台数は3000万台以上というロングセラーにしてベストセラーなのに(1974年デビューの「ゴルフ」はざっと3500万台)、いまひとつパッとしない。いや、本国や中国では押しも押されもせぬヒット作だし、2015年に国内発売された現行型(「TDI」は例のディーゼルゲート事件の影響もあって2018年導入)は欧州カー・オブ・ザ・イヤーにも輝いている。今ひとつなのは日本国内の話である。特に今は金看板たるゴルフの新型がようやく導入されたばかり、そうでなくても目立たないパサートは影が薄くなりがちだ。せっかくのマイナーチェンジももう少し時期をずらせなかったのかと心配になるが、まあいろいろと事情があるのだろう。...