世界が変わる
あのハーレーダビッドソンから、まさかのアドベンチャーモデル「パン アメリカ1250」が登場。アメリカの大自然が鍛えたブランド初のオフローダーは、“これが初出”とは思えないほどに高い完成度を誇るバイクに仕上がっていた。
期待値は決して高くなかった
遅れてやってきた、なんちゃってアドベンチャー。ハーレーダビッドソンの「パン アメリカ1250/1250スペシャル」が発表されたとき、そう思った。世界中で流行しているカテゴリーを無視し続けるのもあれなので、取りあえず出しておくか。そんなテンションを感じたからだ。
近年のハーレーダビッドソンはしばしば変化球を投げる。新興国をターゲットにした「ストリート750」や電動の「ライブワイヤー」、ストリートファイターの「ブロンクス」(未発売)がそれだが、パン アメリカ1250は暴投にもみえた。頭でっかちで明らかに重そうな佇(たたず)まいは、オフロードのことを本気で考えているとは思えず、高級SUVのようなプレミアム感があるかといえばそうでもない。デザインはいかにも武骨な一方、ミラーは「転べばどうせすぐ折れるんだから安いのにしておきました」と言わんばかりのきゃしゃなつくりだ。
今回の試乗会で主にテストしたのは、2種類あるグレードのうち、上位に位置するパン アメリカ1250スペシャルだ。目の前にすると意外とコンパクト……という展開にはならず、圧迫感は隠せない。サイドスタンドが比較的寝ていることもあり、車体を直立させるのでさえ、かなりの力と勢いを必要としそうだ。おまけにスタート地点は砂利道で、空からは雨粒も少々。他の参加者からも露骨にげんなりした様が伝わってくる。
そんな風に暗たんとした気分がいきおい晴れたのは、キルスイッチをONにしたときだ。わずかなモーター音とともに車高がググッと低下。かかとまでべったりとは言わないものの、余裕で踏ん張れるほどシートは下がり、引き起こしも楽に行うことができたのである。...