男なら
内外装のデザイン変更やユーザーインターフェイスの改善など、ブラッシュアップが図られたメルセデスAMGのフラッグシップ2ドアクーペ「GT」シリーズ。ラインナップの中で最も硬派な「GT R」をワインディングロードに連れ出し、その進化を確かめた。
ぜいたくなカタチ
本物はプロポーションで度肝を抜く。いかにもこわもてのバンパーやライトまわりの処理などは、それに比べれば枝葉末節である。何しろ4.5mあまりの全長の3分の1以上は長大なノーズで、ドライバーズシートはホイールベースの真ん中よりも後ろに位置する。2630mmのホイールベースの内側にはエンジンとたった2人分のスペースだけ。これが「フォルクスワーゲン・ゴルフ」ならほぼ同じホイールベース(2635mm)の中にはエンジン/トランスミッションと5人分のちゃんとした室内空間が確保されているのに、なんとぜいたくこの上ないパッケージングだろう。
大きなエンジンフードを開けると、無駄というか、いやもちろん無駄ではないのだが、途方もなくぜいたくなスペースの使い方に感心するよりもあきれてしまう。AMGの象徴「ワンマン・ワンエンジン」の熟練工のプレートが貼り付けられた下はエンジンそのものではなく、冷却用のラジエーターコアやインテークパイプが詰め込まれているだけ。このAMG GT用に開発されたドライサンプのM178型4リッターV8ツインターボユニットは、バルクヘッドにめり込むようにエンジンルームの後方に、しかもVバンクの中に並んだ2基のターボチャージャーの下に埋め込まれている。
フロントアクスルから前方のオーバーハング分およそ900mmには重量物を配置していないおかげで、さらに7段DCTはトランスアクスル式でリアに置かれているために、重量配分は48:52とむしろ後輪寄りである(車検証値で810kg:880kgの計1690kg)。フェラーリはエンジンを運ぶためのシャシーなどという言い方もあるが、このAMG GT Rもまた同様、まさにレーシングカーそのものといった眺めである。...