スポーツカーのお手本
アルピーヌのピュアスポーツカー「A110」に、さらなる高性能バージョン「A110S」が登場。サーキットでステアリングを握った筆者は、速さだけを追い求めないチューニングの成果に、大いに感銘を受けたのだった。
わかってる人のさじ加減
新生アルピーヌA110の高性能版が出ると聞いて、せっかくのクリーンなボディーにニョキニョキとツノ……じゃなくてエアロパーツが生えたり、大きなウイングが後方視界を遮るようになったらどうしよう? と市井のいちファンとして心配していたのだが、杞憂(きゆう)でした。エンジンとサスペンションには手が入れられたけれど、シンプル&スタイリッシュなデザインはそのままだ。
「A110ピュア」と「A110リネージ」で構成される従来のラインナップに加わったのは、アルピーヌA110S。「“S”を名乗るなら、リアサスペンションはネガティブキャンバーがカッコいいスインググアクスルにしていただかないと」というエンスーすぎるクレームは捨て置いて、21世紀のA110Sを紹介するとポイントは3つ。エンジンのパワーを引き上げ、足まわりをスポーティーに硬め、新たにカーボンルーフを採用した。まっこと正当な高性能版である。
素晴らしいのは、全方位的にポテンシャルを上げたにもかかわらず、「走行会仕様!」とばかりにやりすぎることなく、日常使いをメインとしたチューンナップにとどめていること。ノーマルA110の、ロール大きめでしなやかなサスセッティングも、スポーツ走行時のわかりやすい挙動といかにもフレンチスポーツらしい乗り心地のよさが上手にバランスされていて大いにうならされたものだ。が、「スポーツ性が際立つダイナミックな走りとスタイリング」とうたわれるA110Sにサーキットで試乗する機会を得て、あらためてルノー・スポール……もとい! アルピーヌ開発陣の手腕に感銘を受けた次第です。パチパチパチ。A110Sの価格は899万円。804万6000円のピュアより94万4000円、844万4000円のリネージからは54万6000円高となる。...