(更新:)
ORICON NEWS
相次ぐ猫の不審死、動物虐待続く現場でも「犯人を逮捕できない」ジレンマ
■虐待犯に頭を割られた猫、悲劇が続くも警察は「事件性はない」
チャンスが怪我を負ったのは、虐待が頻繁に起こっている場所だったという。過去にも毒を盛られたり、「虐待は犯罪です」というポスターを貼っても、すぐにはがされてしまうそうだ。「嫌いだから?」「糞尿や鳴き声が迷惑だから?」「おぞましいサディズム?」「愚かな征服願望?」。もちろん、世の中には猫が嫌いな人もいるだろうが、たとえどんな理由があったとしても、虐待が決して許されざる行為であることは間違いない。
恐ろしいことに、チャンスのあとにも猫の虐待事件は続いた。ある日、現場周辺で活動していたボランティアが、不審死した子猫を発見。さらに、その数日前にも大人の猫が不審死を遂げていたこともわかった。警察署に検死、現場検証をしてもらったというが、猫の体に傷がなく、吐しゃ物もなく、毒物らしきものが見つからなかったため、解剖には出せなかった。
「死んだ猫は、“警察で”解剖に出さないと、犯人を逮捕できないんです。そのボランティアさんから『ねこけん』の病院で解剖するよう頼まれたのですが、それだと犯人が見つかっても、逮捕には至らない可能性がありました」と溝上氏。ボランティアが、現場周辺で不審者と不審な車を目撃したにも関わらず、だ。
だからといって、このような恐ろしい現場をそのままにはしておけない。溝上氏は、近隣住民や地元ボランティアとともに、猫の解剖を求めて地域を担当する警察署へと向かった。相次ぐ猫の不審死、目撃された不審者。ここまでくれば警察も動いてくれそうなものだが、そう簡単ではなかった。警察は、事件性はないと判断していた。
「虐待する人が一定数存在するのも事実」、まだ犯人は捕まっていない
「前例がないのなら、最初の一例になってもらえないかと相談しましたが、とても時間がかかりました。それでも、ボランティアの方が猫ちゃんが倒れたときの動画を録っていたこともあり、なんとか説得することができたんです」と溝上氏。不審死した猫を冷凍保管していたことも、功を奏した。のちに、警察から某大学に解剖依頼をする方向で進めると、連絡があったそうだ。
「現在は捜査中で、周辺のパトロールも強化してもらえることになりました。このように、以前よりは警察の方々も協力的になってくれたとはいえ、まだまだ動物は“モノ”扱いになってしまうことも多いです」(2020年6月より罰則は強化された)
この一件は、小さな一歩かもしれないが、大きな前進ともいえるだろう。
「動物虐待は犯罪です。でも、虐待する人が世の中に一定数存在するのも事実。市民の目で、きちんと見守っていくことが必要だと思います」
チャンスを虐待し、何頭もの猫を手にかけた犯人は、いまだ捕まっていない。
(文:今 泉)
■『ねこけん』オフィシャルブログ(外部サイト)