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虐待、病気、多頭飼い…あえてショッキングな“保護猫のリアル”を発信する理由「現実に起こっていることを知ってほしい」

  • ブリーダーの多頭飼いが崩壊、ひどい環境の中で我が子を守るペルシャ猫。その目は感染症に侵されている(写真:ねこけんブログより)

    ブリーダーの多頭飼いが崩壊、ひどい環境の中で我が子を守るペルシャ猫。その目は感染症に侵されている(写真:ねこけんブログより)

 現在、日本の動物保健センターにおけるペットの殺処分数は年々、減少の傾向を見せている。「保護猫」「保護犬」という言葉も浸透し、動物番組やネットニュースなどでも、保護された動物たちの“その後”の幸せな姿を目にすることも多い。だが、実際の保護の現場は「生やさしいものではない」という。目をそむけたくなるような現実、リアルな保護の様子をブログに綴っているのが、NPO法人『ねこけん』だ。なぜ、ここまで赤裸々な猫たちの姿を発信するのか、保護ボランティアの現在とは? 代表理事・溝上奈緒子氏に聞いた。

「たとえお金がかかっても迷いはない」、救えなかった犬への誓い

  • 悲惨な環境から救われ、徐々に本来の姿を取り戻したペルシャ猫

    悲惨な環境から救われ、徐々に本来の姿を取り戻したペルシャ猫

 『ねこけん』は、殺処分ゼロを目指し、猫のTNR(trap, neuter, return)をメインに活動しているNPO法人。TNRとは、地域猫を捕獲(トラップ)して避妊手術(ニューター/手術した猫の耳の先をV字にカットし手術済みの印に)を施し、元の場所に戻す(リターン)という活動。不要な繁殖を防ぎ、不幸な命を自然に減らしていくべく、日々奮闘している。現在、ボランティアメンバー200名を擁するこの『ねこけん』をいちから作り上げたのが、溝上氏だ。動物福祉を考え始めたのは、彼女が中国の大学に通っていたとき、1匹の犬を助けられなかったことがきっかけだそうだ。

 「市場に見るからに具合の悪いワンちゃんがいたんです。どうしても助けたくて、費用は全部出すから病院に行かせてほしいと頼みましたが叶わず、日本に連れ帰ることもできなかった。無力さを感じながら、その子に『日本に戻ったら、あなたの仲間を絶対に救うから』と誓いました」

 帰国後、すぐに野良犬・野良猫を救おうと動き始めた溝上氏だったが、個人ではわからないことも多く、あるボランティア団体に所属。そこで2年間、保護活動の修行を積み、2011年に『ねこけん』を設立。翌年には、資金の流れを透明化するため、NPO法人となった。当時は小さな法人だったものの、あるとき『ねこけん』の名前が世に知れ渡る出来事があった。東京・国立市で起こった殺人事件の犯人宅がテレビに映り、部屋に放っておかれたままの猫をボランティアメンバーが目撃。警察に掛け合って25匹の猫を保護したが、それがメディアに取り上げられ、『ねこけん』は一躍有名になった。有名になること、それはボランティアにとって、動物を救う資金を得やすくなるということと同等だ。「病気の猫への薬がたとえ100万円かかっても、救うことに迷いはありません。絶対に命を優先さえることが『ねこけん』の理念ですから」と、溝上氏は語る。

「可愛らしい」だけではない、ブログに掲載された悲惨な猫たち

  • 井の頭公園でびしょ濡れで行き倒れていた猫

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  • 薬品をかけられボロボロになった地域猫

    薬品をかけられボロボロになった地域猫

 そんな力強い理念を抱いた『ねこけん』を、ブログやTwitterで知った人も多いだろう。世は可愛らしい猫の写真や動画で溢れ、“保護猫”と名のついたものでも、多くは“保護された後に幸せに暮らす猫”の様子だ。だが『ねこけん』のブログには、虐待にあった猫、多頭飼いが崩壊しひどい環境にいた猫、病気になって行き倒れになった野良猫など、思わず目をそむけたくなるような写真が掲載されている。こうしたショッキングな内容を公開するのは、「現実に起こっていることをアナウンスすべき」という考えからだ。

 「人間の都合で、虐待やとんでもない環境を耐えてきた猫たちがいます。また、今でこそ地域猫という言葉も定着しましたが、彼らの最後はこうなってしまんうんだということも知ってほしい。安易にご飯をあげればいいというものじゃない。病気だったらちゃんと病院に連れていかなきゃいけないし、不妊去勢の手術もしなきゃいけない。ブログでは、自分たちでやれることを発信しなきゃいけないと思ったんです。また、他のボランティア団体に向けたメッセージでもあります」

 1日、約9万アクセスあるというブログの影響力は大きい。ここで活動報告をすることで寄付金も集まり、病気の猫が使う酸素室が寄付されたこともあるという。ただし、現実はブログよりさらに厳しいことがあると、溝上氏は明かす。「本当にショッキングな写真はブログにも載せることはできません。もっとひどい状態の猫ちゃんもたくさんいるということも知ってほしいんです」。

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