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虐待、病気、多頭飼い…あえてショッキングな“保護猫のリアル”を発信する理由「現実に起こっていることを知ってほしい」
批判もあるが助けられたことも…子猫救助にSNSユーザーが協力
このブログはボランティアメンバーの1人が書いているものだが、それをTwitterで投稿して、より多くの人に届ける形をとっている。また、それとは別に溝上氏自身も1年ほど前からTwitterを始め、その拡散力には驚いているそうだ。
「あるとき、穴に落ちた子猫を救助しに向かったんですが、どうしても助けられないことがあって。夜中の2時だったし、消防署の方でもどうにもならなくて、すがる思いでTwitterで助けるアイディアを募集したんです。そうしたら、なんと1万人もの方がリツイートしてくれて、いろんな救助方法を出しあってくれて…。とても感謝しましたし、感動しました。おかげで、その子猫も助けることができました」。
高まってきた動物愛護の意識、課題解決する厳しいルールは「不幸な猫を減らすため」
「私がボランティアを始めた当時は、よく『野良猫にエサをやるな』と言われて、理解を得ることに苦労しました。でも今は、日本人の動物愛護への意識も変わり、一歩ずつですが法律も進んできています。世の中の人が猫や犬に対してとても優しくなってきていて、ボランティアの活動もしやすくなりました」
とはいえ、飼い方にはまだまだ課題も多い。
「飼い猫を家から外に出さなければ、野良猫が増えることもありません。外に出せば虐待される危険性もありますし、車にひかれることもあります。徹底的に室内飼いを守ってほしいですね。また、多頭飼いは問題になる事例も多いだけに、国が不妊手術を義務化してほしいと思っています」
『ねこけん』では、保護猫を譲渡する際には、かなり厳しい条件が設定されている。HPによると、終生飼養、完全室内飼養、年1回の報告、ペット飼育可物件での居住などがあるが、ほかにもまだまだ“NG事項”は多いとか。
「一般家庭で飼う猫は4頭までなど、いろいろと決めごとがあります。なぜここまで条件が厳しいかというと、これまで多くの失敗をしてきたから。私たちが大丈夫と思って譲渡した先で、猫たちが不幸になってしまうこともありました。そういうことをなくしたい、だからルールは厳しくしているんです。でも、このルールを満たして『ねこけん』から譲渡されたということが、一つのステイタスになったらいいなとも思っていて。すべての条件をクリアした意識の高い飼い主である、というようにブランド化すれば、猫たちも幸せになれると思うんです」。
「猫や犬はペットじゃなく家族。彼らの健康状態を見てあげて、きちんとご飯を食べさせてあげて。そうすることで、家族として末永く一緒に暮らしてもらいたいですね」と溝上氏。動物が好きだからという理由だけで、“命”を預かることは難しい。だが、それを理解することが、ひいては不幸な動物たちを救うことになる。ブログで『ねこけん』の活動を知り、保護猫たちのリアルを目の当たりにすることが、動物と関わることの責任と覚悟を自覚させてくれる。
(文:今 泉)
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