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【話題のマンガ試し読み】不妊治療の末に双子を出産、終わりないトンネルのような妊活から「なんもわからん」双子育児…夫婦の不安とは?

(C)王嶋環/ebookjapan

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 1970年代に比べ、2000年代は双子の出生率がほぼ倍に。その理由の一つに「不妊治療」があるそうだ。たしかに街中でも双子用のベビーカーなどを押す人を見かけることが、一昔前より増えたような気がする。夫婦でマンガ家をしている王嶋環さんも、3年の不妊治療の末、双子を出産。ちょっとお腹が大きくなるだけ…と思っていたが、実際の双子の妊娠・出産・育児は不安だらけだった。そんな経験を『なんもわからん双子育児』としてマンガ連載中。不妊治療中の話から現在奮闘中の双子育児について聞いた。

生理のたびにリセットされ「また時間を無駄にした」と落胆

――不妊治療を3年されていたそうですが、旦那さんと結婚当初から「子どもが欲しい」という思いがありましたか?

王嶋環さん私はずっと「子どもが欲しい」と思っていて、夫は「この歳からの育児はしんどいけれど、ギャンブルとしての不妊治療に協力はする」という立場でした。まさか双子を授かるとは思っておらず、夫はかなり不安だったようです。

――タイミング法や体外受精など時間やお金、そして気力も必要な不妊治療ですが、今振り返ってみて一番つらかったと思うことはどんなことですか?

王嶋環さんいろいろ頑張っていることが、生理のたびにリセットされることです。「今月もだめだった」「また時間を無駄にした」と毎度落ち込みました。

――早期流産もあり、いい結果がでないことも何度も経験されたかと思います。そうした時に王嶋さんの気持ちを立て直してくれたり、ストレスを発散したりしてくれたものは?

王嶋環さん不妊治療クリニックの近くにゲームセンターがあって、そこで推しのゲームをすることを心の支えにして通院していました。
  • (C)王嶋環/ebookjapan

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――早期流産もあり、いい結果がでないことも何度も経験されたかと思います。そうした時に王嶋さんの気持ちを立て直してくれたり、ストレスを発散したりしてくれたものは?

王嶋環さん不妊治療クリニックの近くにゲームセンターがあって、そこで推しのゲームをすることを心の支えにして通院していました。

――不妊治療は精神的にも肉体的にもリスクが伴うことが多いです。治療を始めることも終わりにすることも含め、決断に勇気がいるものだと思います。ご自身の経験も踏まえ、不妊治療に踏み切るうえでの心構えをお聞かせください。

王嶋環さん予算や時間、体調も含めて、やめどきを決めておいたほうが私は楽でした。私の場合、体外受精にステップアップしたときに、最初の採卵でできた受精卵を順番に移植してダメなら諦めようと決意しました。というのも、採卵があまりに大変で夫が「もう一度あれをさせたくない」と言ってくれて…。自分ではなかなか決断できませんでしたから助かりました。

――王嶋さんにとって、「妊活」はどんな時間でしたか?

王嶋環さん終わりのないトンネルを歩いているような気持ちでした。妊娠したときは、「妊娠した!」という喜びと同時に「もう不妊治療しなくていいんだ!」とホッとしたことを覚えています。

念願の妊娠、うれしさもつかの間…未知なる“双子”出産→育児に奮闘

  • (C)王嶋環/ebookjapan

    (C)王嶋環/ebookjapan

――ハイリスクで1ヵ月以上入院したり、早産の可能性があったりと、出産までは様々なことが起こりました。双子出産にあたり、一番大変だったことや不安だったことは?

王嶋環さんマンガとドラマで『コウノドリ』(講談社)を履修して、自分よりもっと大変なケースを知り、「私なんて全然安心やん」と能天気に考えていました。後から振り返ると全然安心なケースではなかったのですが、激ヤバ妊婦の最後の砦のような病院に転院したので、安心しきっていました。オタクなので、ベッドの上でサブスク三昧することにそれほどの苦痛はありませんでした。ひと月以上塩気のあるごはんを食べられなかったことが、つらかったくらいです。

――双子となると、食事、入浴、寝かしつけ…など、すべてが2倍。子育ての中で一番大変なことは?

王嶋環さん実のところ双子しか育てていないので、ひとりっ子とどう違うのか分からないのです。双子と2人兄弟とで、どう違うのかもよく分かりません。一番分かりやすいのが、お金でした。おさがりという概念がなくて、兄弟ならばひとつでよかったものをふたつ買うことになるので…。
――マンガのタイトルの通り、何もわからずスタートした双子育児ではあるかと思いますが、子育てのなかで楽しさや嬉しさを感じることは?

王嶋環さんたまに「うわっなんかかわいいのが家にいる!しかも2人もいる!すごい!」と我に返ることがあって、たまらなく幸せな気持ちになります。子どもの寝癖がエグいだけで、ゲラゲラ笑えるので、笑いのツボがとても広がったと思います。

――不妊治療の時から二人三脚でずっと王嶋さんに寄り添ってくれている旦那さんへの思いをお聞かせください。性格が真逆の2人、というお話もありました。

王嶋環さん夫は人の哀しみに敏感で、一緒につらくなってしまうタイプの人です。私がつらいとき、一緒に悲しんでくれる人がそばにいるのは、とても有り難いことでした。変に励まそうとしないことも有り難かったです。ただ、私の落ち込みに同調してつらいのに、私がワーッと泣いて早々に次頑張ろう!と行ってしまうので、とまどっただろうなと思います。

(C)王嶋環/ebookjapan

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“双子育児”は得難い経験、つらさも楽しさもすべてマンガで昇華

――「ebookjpan」のオリジナルマンガレーベル「ebookjapanコミックス」の新連載として今年1月にスタートした『なんもわからん双子育児』。コミックエッセイをテーマに選ばれた理由は?

王嶋環さん同じ双子育児中の前担当編集さんから、「ぜひ双子育児ものを!」とお声をかけていただいたことがきっかけです。多胎出産や育児はとにかく情報が少なく、私自身かなり困ったので、多胎妊娠をして不安なかたの一助となれれば嬉しいなと思いました。双子育児でなかなか得難い経験をさせてもらっているのですが、どんどん過ぎ去ってしまうのが寂しく、描きとめておきたいとも思いました。
  • (C)王嶋環/ebookjapan

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――出産後は仕事も徐々にしていかなければならなかったと思います。仕事と育児の両立はどのように行なっていますか?

王嶋環さんいまは保育園に9時半〜18時まで預けていて、その間に仕事をしています…と言いたいところですが、それでは全く足りないので、21〜22時ごろに寝かしつけをした後、仕事を再開しています。だいたい深夜2時頃に双子が「ママきて」と起きてくるのでそこで諦めることが多いです。締切前は、再度寝かしつけをしたあとに頑張って起きて作業します。

――たまに挟み込まれる「オタク思考」などのクスッと笑える描写も。不妊治療や双子出産などセンシティブな内容を含むマンガを描くうえで、王嶋さんが心がけたことは?

王嶋環さんつらいことの多い不妊治療や、不安な多胎出産をそのまま深刻に描くと、読んでいて楽しくないと思うので、なるべく暗くなりすぎないようにしています。

――同じように不妊治療の経験があったり、現在していたり、今後するかもしれない読者もいると思います。読者からの声で印象的だったことはありますか?

王嶋環さん不妊治療でつらいとき、同じ経験をした人に話をしたいな、話を聞きたいなと思っていました。そういう時にエッセイマンガが救ってくれることもありました。不妊治療中の読者さんからいただいた「そうそう!私もそうだった!」「うちは双子じゃないけど同じ!」という言葉が、少しでも代替になれただろうか…と感じられて嬉しかったです。

――出産、子育てを経て、今後描いてみたいテーマや挑戦してみたいジャンルに変化はありますか?

王嶋環さん不妊治療にかなりお金も体力も使ったので、いっそ取材だったことにして、マンガに昇華させてみたいです!
『なんもわからん双子育児』/王嶋環
「ebookjpan」のオリジナルマンガレーベル「ebookjapanコミックス」にて配信中

マンガ家夫婦のもとにやってきた赤ちゃんは、まさかの双子! ちょっとお腹が大きくなるだけと思っていたのに、ハイリスクで1ヵ月以上入院? 早産の可能性!? 産まれたら哺乳瓶も肌着も、粉ミルク紙おむつもとにかく何でも2倍!!? さらに未知の感染症でマタニティクラスが閉鎖して…双子育児に奮闘するコミックエッセイ。
■マンガの続きはコチラから『なんもわからん双子育児』(外部サイト)

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