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ゆりやんレトリィバァ×白石和彌監督『極悪女王』インタビュー(2)長与千種の永遠のカリスマ性に感謝

 動画配信サービス「Netflix」で制作中のNetflixシリーズ『極悪女王』。80年代カリスマ的人気で女子プロレス旋風を巻き起こしたダンプ松本が、正統派プロレスラーとしての成功を目指しながらも悪役に転身し、さまざまな代償や葛藤を抱えながら日本史上最も有名なヒール”に成り上がっていく様を描く。主人公、ダンプ松本役を演じるのは、タレントのゆりやんレトリィバァ。監督は、『孤狼の血』や『死刑にいたる病』などの白石和彌。撮影の合間、ゆりやんと白石監督に、企画の成り立ちから役づくり、撮影現場の様子まで、さまざまに語ってもらった。
――いざ、出演が決まって、それからはどのような準備をされたんですか?

ゆりやん実際に当時のダンプ松本さんを演じる上で、見た目をご本人に近づけるためには体を大きく、強くする必要がありました。このお話をいただく前から私生活でトレーニングや食事改善で体づくりをしていたので、そのパーソナルトレーナーと二人三脚で、1年くらいかけてプロレスラーとして必要な筋力トレーニングをして体を大きくしていきました。1ヶ月に1度行われるメディカルチェックで健康を保ちながら、うまく取り組めたと思います。体重が65キロから93キロに増えても、体は楽というか。「リバウンド」と結構言われましたが、脂肪だけでなく筋肉がついているので、動いてもしんどくないし、大きくなっていくのが楽しかったです。

――情報解禁前で本当のことが言えなくてつらかったですか?

ゆりやん全然(笑)。誰に何を言われても、気になりませんでした。『極悪女王』をみんなで作り上げて、早く観てもらいたいと思うばかりです。

――昨年(22年)2月からクラッシュ・ギャルズで絶大な人気を誇り、ダンプ松本さんとともに女子プロレスブームの中心にいた長与千種さんをはじめ、現役選手の方からプロレス指導を受けつつ撮影をしているそうですね。

白石監督はい。子どもがプロレスごっこをして遊ぶのとはわけが違うので、クランクインに向けて、ゆりやんさんをはじめ、クラッシュ・ギャルズやブル中野、デビル雅美ら当時のレスラーたちを演じる俳優たちには、撮影に入る5ヶ月くらい前から長与さんが代表を務めるプロレス団体「マーベラス」でトレーニングしてもらいました。

ゆりやん部活みたいになっています。全員、プロレスは初めてだったので最初はみんな何もできませんでしたが、ご指導のおかげでみんな本当にかっこよくなってきました。

まさに青春を過ごしているみたい

白石監督僕が練習を見学しに行った時、ゆりやんさんが号泣していたことがあったよね。何事かと思ったら、みんなはクリアできたのに自分だけできない、と悔し泣きしていた。みんなに励まされて、何度かトライして、ようやく「できた!」となったら、今度はゆりやんさんを励ましていた周りの子たちがうれし泣きしてね。みんなで悔しさやうれしさを共有している、なんかすごいなこの感じ、と圧倒されました。

ゆりやん監督がおっしゃったみたいことが練習のたびにあって、例えば教わった動きがなかなかできない人がいると、できる人が正しい動きはこうです、みたいな動画を作ってシェアしてくれたり、「ここをこうするといいと思います」とアドバイスしてくれたり、取り残される人がいないように、みんなで支え合ってここまでやってこられたな、と思います。実は、学生時代にテニス部で仲間外れにされたことがあって、部活にいい思い出がなかったんですけど、上書きされました。いままさに青春を過ごしているみたいです。

白石監督そういう感動的なことが、毎日のようにあるよね。俳優陣の中には長与さんから「プロレスラーとしてデビューできる」とお墨付きもらうようなとんでもない技ができるようになった人もいれば、そうでもない人も当然いるわけだけど、現場でのみんなの立ち居振る舞いはマーベラスの人たちと見分けがつかないくらいになってきているんですよね。空き時間に黙々と受け身の練習をしているとか、出番のない人が、出番のある人のサポートを率先してやるとか。その雰囲気を作ってくれたのは、やっぱり長与さんの存在が大きくて、カリスマ性というのは、クラッシュ・ギャルズ全盛期の頃から変わっていない気がしますね。

 長与さんは嗅覚が鋭いというか、ここ一番という場面がやってくると、僕より先に「ちょっとみんな集まって」とキャストに声をかけて「次は、頑張りどころだからね」と気合いを入れてくれて、みんなの気持ちを一つにしてくれる。そのタイミングが常に的確で、ドラマの質を高めてくれている。長与さんの全面的な協力がなかったら、この企画は成立してないと思います。

ゆりやん長与さんは優しくて、熱くて、本当にスーパーヒーローみたいな方です。プロレス指導はもちろん、「この時のダンプさんはこんなだったよ」とか、「この時の私たちはこんなことを思っていたよ」とか、当時の様子やその時の内面についても教えてくださるので非常にありがたい存在です。ある時、長与さんが監督のうしろでモニターをご覧になりながら泣いていらしたんです。ご本人が当時を思い出して泣いてくれていて、私たち出演メンバーもすごく励まされました。

インタビュー(3)につづく

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