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動物保護の未来に憂い…パンク町田さん「一人でも動物に興味を示す人が増えるなら、僕は“裸おじさん”でいい」

パンク町田さん

パンク町田さん

 3年前から北海道で次々とウシを襲っている巨大なヒグマ「OSO18」をはじめ昨今、鹿、猿、猪、熊など、野生動物が人間の生活する場所に来て問題視されている。なぜ野生動物たちは人間が住む場所へ下りてくるのか。なぜ人や動物を襲い、農作物を荒らすのか。ムツゴロウこと畑正憲さんから直々に「ポスト・ムツゴロウ」に任命されたパンク町田さんは「そもそも動物が棲んでいた場所に町を作った、あるいは人間自体がバイパスを作ってしまっているから」と解説する。TikTokではエンタメに振り切って話題をさらう同氏に、人と野生動物の共存について、また保護動物問題から捕鯨問題まで、語ってもらった。

野生のクマが町へ下りてくる理由は…実は遺伝子が関わっている

 パンク町田さんは昆虫から爬虫類、鳥類、猛獣といった、ありとあらゆる生物を扱うことが出来る動物の専門家。多くの著作を持ち、『サンデージャポン』(TBS系)や『おしゃれイズム』(日本テレビ系)など数多くのテレビにも出演。現在は千葉県旭市の有限会社バーデン敷地内にて、研究施設「アルティメットアニマルシティ」を運営している。昨今その施設にも自治体が対処しきれない野生動物が保護されてくるという。そもそも、なぜ野生動物は人間の生活圏にまで現れるのか。

 「その考え方は逆で、人間の方が動物の生活圏に入っているんだろうと、あるいは動物の生活圏と人間の生活圏にバイパスを作っていると、その2つの面があると思いますね。1つ目から説明すると元々動物たちが棲み、その縄張りだった場所に町を作ったので、安全だと分かれば今までの縄張り通りに歩き出すということ。すべてではないが図太い性格の動物はそうします。2つ目は、人間が新しい道を引いた。或いは新しい電線を作った。そうするとそこを伝わってやってくる。つまり人間が知らずしらずのうちに動物を招きこむ物を作ってしまっているんです」

 北海道では深刻な“熊害”が話題になっている。町に現れたり、家畜を襲撃したり…。驚くことにそれには「血統」が関係していると言う。「研究している先生がおりまして、鈍感なのか人間が怖くない遺伝子を持った熊の“血統”があるのだろうと。また人間の肉の味を知った熊が再び人を襲うという話もありますが、これも本当です。ただし熊は人肉が大好物なわけではない。要するに食べ物のバリエーションに人間が入ってしまった結果ということです」

 ただし冬眠前に十分な食料をとれなかった熊の場合は危険だ。栄養が足りないから冬眠したら死んでしまう。すると冬も起きたまま餌を求める。これが人間の町へ来る「血統」だった場合、冬の間も家畜や人が襲われることもある。1915年に起こった一家5人が家の中でヒグマに食い殺された「三毛別羆事件」はあまりにも有名だ。

人が自分たちを守るため、自分たちを繁栄させるためにやったことが悪循環に

検疫中のキリンとパンク町田さん

検疫中のキリンとパンク町田さん

 「ですがそもそもクマは臆病で警戒心が強い。町へ下りてくる“血統”のクマはハンターに狙われやすいのである意味、淘汰されやすい種とも言えます」。過去に町田さんは町に現れたクマを「私が保護します」と名乗り出たこともある。町田さんの施設はクマを飼育できる環境がほぼ整っていたが、そのクマは連れてこられずに結局、殺処分されてしまった。

 「すごく心が痛みます。うちの施設に来ても終身刑のようなものですが、何も殺処分=死刑にすることはないだろうと。人間に置き換えれば例えば農作物を大量に食い荒らそうと死刑にはならないじゃないですか。そういった動物たちの命をクマに限らず、救いたいと思っています。

 また例えば現在は猟期ですが、なぜ山にシカが増えすぎたかといえば、ニホンオオカミを人間が絶滅させてしまったからです。人間が絶滅させたオオカミの代わりを人間がやらなければならないという矛盾、悪循環。要は人間が野生動物の生態系を変えてしまったから、また野生動物の縄張りに町や畑を作ってしまったから、シカが増え、農作物を荒らす。何も人間批判をしたいわけじゃなく、どうしてもそうなってしまっているんですね」

 町田さんの施設には人を襲う凶暴なサルやヤギなども送られてくる。サルなどが人間を襲う場合、それは「サルが自信を持った。人間が自分より弱いと知ってしまった」ことが理由に挙げられるという。町田さんはそうした動物たちを保護し、動物医も3人常駐。病気が蔓延しないよう環境も整えてあり、どうしても手に負えない喧嘩をしてしまう動物はそれぞれ檻へ。また去勢を行い、自然繁殖も防いでいる。

 町田さんがここまで野生動物に働きかけるには理由がある。「野生動物…それぞれの命、僕は“平等”だと考えたい。どんな動物だってひとつの命に変わりはないから」。逆にクジラやイルカが“特別”だという視点もあるが「僕から見れば、はっきり言ってあり得ない考え方です」と一刀両断する。

 「そういった団体の人たちはウシやブタを飼ったことがないんだと思う。飼えばウシやブタも相当、頭がいい動物だとわかる。それにそれまでペットのように飼っていたウシやブタ、彼らは“今からまた食事だ”と喜んでいるところで運ばれ食肉処理されてしまう。これはある意味、彼らの愛情を裏切っていることになりませんか? さらにクジラ一頭でたくさんの肉がとれる。それをやめるためにウシやブタを何十頭何百頭も殺す。それはいいと言うのか?」

 人は植物も含め生物の命を奪って食べなければ生きていけない。非常に罪深いが、それは同時に、人間も“動物”である証である。町田さんはその“人間”も含めた“動物”の命を何より深く考えている。

「これ以上、野生動物のスペースを取り上げないことが重要」

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 現在、町田さんは「今の敷地面積ではすべての動物の保護ができない」と考え、クラウドファウンディングで資金を募り、野生復帰できない傷病鳥獣が終生飼養できる施設を建設予定であると発表。動物保護のために、よりよい環境を作るために邁進している。だがそれ以上に大事なことは、これ以上、保護しなければいけない動物を減らすことだ。

 「そのためには野生動物のスペースをこれ以上、取り上げないことです。もう道路を作らない、新たな開拓された土地を買い取らない(新たに土地を開拓しない)、新たに家を建てない。僕は人間と野生動物は共存できると考えています。こうなってしまっている現状は仕方ありません。“現在すでに開発されている環境のほとんどは、人間が生活水準をキープ・向上させてゆくために必要ですから、”今の状態をキープする。これで十分やりくりできるのではないかと考えています」

 とは言っても町田さんは「そもそもいろんな人がいて、いろんな考えがあり、おそらくそのほぼすべては正しい」と自身の考えを押し付けることはしない。あくまで「命」。「動物保護・平等からの観点での話」と強調する。

 そんな町田さんは、テレビ出演をはじめ自身のSNSでは非常にユーモラスな姿を見せる。「そこが注目されてもまったく構わない。それで僕を知ってもらい、100のうち1人でも学者に、動物愛護の世界に、入ってくれれば“裸のおじさん”で構わないんです。それで僕の目的は達成される」。町田さんにとっては、人間に危害を加えただけで殺処分されるのは“不条理”。人間だけが特別なのではない。人の傲慢さが野生動物問題だけではなく、世の中のさまざまな環境問題にもつながるのではないか。

≫パンク町田さんの活動はHPにて確認できます
https://ultimateanimalcity.info/information/(外部サイト)
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