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なぜ普通の主婦が「堕ちた」のか…突然の“バズリ”で金銭感覚も一変、待ち受ける落とし穴に「ゾワゾワ怖い」

 世の中にはさまざまな“誘惑”が待ち受けている。日々の生活の息抜きに“ちょっとくらいいいよね“と、少しずつ普通の生活から脱線し…。そんな、あるブロガーの姿を描いたLINEマンガ『とあるブロガーの転落』が話題を集めている。”バズリ“をきっかけに、それまでのありふれた日常からかけ離れた、華やかな世界で生きるようになり、やがて堕ちていく主人公…。SNS全盛時代に誰もがこうなる可能性を秘めたヒューマンドラマは、どのようにして生まれたのか? 作者のバラマツヒトミさんに話を聞いた。

二股、浮気、主婦なのに夜遊び…実はみんな、心の底でやってみたいと思っている

 自分の顔にコンプレックスを持った主婦のさくら。得意のメイクでカバーしてきたが、ある時、友人でブロガーの安昼(あびる)に、自身のメイクについてブログに書くことを勧められる。半信半疑ながら、メイクするビフォーアフターの顔写真をアップすると、それが突如バズってしまう。これをきっかけに、平穏だったさくらの日常に徐々に変化が訪れていく…。

――LINEマンガで最新作『とあるブロガーの転落』を発表されました。読者からも「今回は内容も攻めててハードですね。絵柄とのギャップが良い」などのコメントが上がっています。こうした反響をどのように受け止めていらっしゃいますか?
バラマツヒトミさんそうなんですか? コメントは一切読まない派なので、好きに書いてもろて…という気持ちです。他の編集者さんには「ゾワゾワ怖い」と感想をいただいたので、それが印象的でした。

――「ゾワゾワ怖い」は言い得て妙ですね。本作はタイトルにもある通り、ブロガーの転落を描かれていますが、物語の発想はどこを起点にイメージを膨らませていったのでしょうか?
バラマツヒトミさん「経済力を手に入れた女性が好き勝手する」というのが好きで、今回の作品の起点となりました。好きなブロガーさんを10年間見てきたので、描きやすそうと思い題材に決めました。

――昨今、SNSはさまざまありますが、「ブログ」をツールに選んだのはどのような理由からですか?
バラマツヒトミさん「今さらブログ?」感があるのか、この原案を提案した時も「インスタグラムとかにしたら?」とは言われたのですが、ある程度歴史がある感じや、言葉の発信力があるところに魅力に感じていたので、「ブログ」のままでいきました。

――確かに、「言葉の発信力」ではブログは強いですね。本作では、平凡な生活をしていた主人公の主婦が、ブログで書いた1つの記事の“バズリ”から生活が一変する様子が描かれています。主人公・さくらは、平凡でありながらも、物語冒頭では二股を平気でしたりと、奔放な部分もうかがわせるキャラクターです。設定でこだわった部分はありますか?
バラマツヒトミさん二股、浮気、主婦なのに夜遊びする、家事したくないなどは、実はみんな、心の底ではやりたいんじゃないかなあ、と思うのですが、その辺を言い訳しながらもやるところにこだわってます。それを表してるのはブログの文章ですかね。

――ドキっとする人も多そうですね(笑)。登場人物はモデルがいるのですか?
バラマツヒトミさん「好きなブロガーさんだったらこうしそうだな」と思って書いてるところもあります。夕くん(主人公・さくらの旦那)は最初、知人の旦那さんをモデルにしていました。当初はさくらが25歳からスタートの予定でしたが、32歳スタートになったため、嫁姑部分が濃くなりましたね。結末も思い描いていたものとは違うものになりそうです。

転落したとしても、その過程を楽しめば「楽しい人生」

――人気ブロガーの「メル」と知り合ったことが、「転落」への序章だったのかなと感じます。先生のなかで「メル」はどのような存在で、どう描こうと思っていたのでしょうか?
バラマツヒトミさんブロガーという“非日常な生活”の目印になる子がいるといいなあと思い、生まれたキャラクターです。あびるという普通の友人との対比になればと思っていました。

――少しずつ、普通の生活が歪んで、変わっていく。そんな主人公が「転落」していく様子を描くにあたって、何か気を付けていること、心がけていることはございますか?
バラマツヒトミさん(物語の最初と最後で)価値観の変化が出るように、序盤で金銭感覚を細かめに描きました。例えば、回転寿司の値段を出したり、5千円の服で悩むなど…。

――確かに、金銭感覚の変化の描写は「転落」の象徴ともいえるほど細かく描かれてますね。本作は、ありふれた主婦の「転落」を描くことで、このような“落とし穴”が日常に潜んでいることを喚起しているようにも思えますが、先生が読者に届けたいメッセージとは、どのようなことなのでしょうか?
バラマツヒトミさんそうですね…でも、結果転落したとしても、その過程で本人が楽しかったのならば、めちゃくちゃ楽しい人生だよなぁと思って描いてますね。

――角度によってだいぶとらえ方が変わりますね。SNSの発達によって、情報がすぐに手に入るというメリットがある一方で、書き手(情報発信者)が攻撃されるなど、モラルのないふるまいが社会問題にもなっています。こうしたSNSの問題点についてはどのようにお考えですか?
バラマツヒトミさん人間ですので、その時の状況や気分で左右されることも多々あるかと思うのですが、やはり肉体的にも精神的にも誰かにダメージを与えてしまう行為については、私は好きではないですし、できればそんなことが無くなって欲しいですが…なかなか難しいですよね。だからこそ自分自身はそんなことをしないように、毎日をハッピーに生きていたいと思ってます。

――LINEマンガでの前作『誰かいい人いませんか?』では、婚活を描かれるなど、先生の作品は“現代社会”を投影したものを描かれているように思えます。ご自身の作品にはどのような想いを込められているのですか?
バラマツヒトミさん普段自分がモヤモヤしたことだったり、好きなことをモチーフに書いているので現代社会寄りになっていますね。地味なモヤモヤに共感されたり、こういう考えもあるのか、ぐらいに思って読んでいただけると幸いです。

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