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「猫の神様」がくれた生きる力、後ろ脚なくても生き抜き天国へ…その名は今も“二代目”に受け継がれる

  • 初代「あんよ」(写真:ねこけんブログより)

    初代「あんよ」(写真:ねこけんブログより)

 先日、NPO法人『ねこけん』が保護した、後ろ脚に重い障害を持った子猫「あんよ」の成長ぶりを紹介した。だが、脚にちなんだ「あんよ」という名前の猫は、これが初めてではない。3月初旬、初代「あんよ」として生きた猫が、虹の橋を渡った。生まれつき後ろ脚がなくとも、力強く幸せに生きることはできる。それを教えてくれた初代「あんよ」について、代表理事・溝上奈緒子氏に聞いた。

後ろ脚に奇形、でも…「猫の神様はちゃんと生きていかれる能力をくれた」

 初代「あんよ」が『ねこけん』にやってきたのは、2018年10月のこと。「足がない子猫が来るんです」、そんなメールが遠方の相談者から届いた。当初は事故か虐待などが疑われたが、どうも「先天性の奇形のようだ」とのこと。相談者は経済的な理由から飼育ができないということだったが、それでもその猫の不妊去勢手術、ワクチン、ノミ取り代を負担してくれ、子猫は『ねこけん』が保護することになった。

 子猫は、茶白の小さな男の子。後ろの右脚は根本から完全になく、左脚は小さくねじれて縮んでいた。この状態では、さすがに外で生きるのは難しい。保護されたとしても、普通の猫のような自由な生活を送れるのかどうか…。

 だが、そんな不安をよそに、その子猫は驚きの能力を見せる。前脚のみで身体を持ち上げて移動し、キャットタワーにも登ることができる。お気に入りのハンモックにも登れるし、うまくバランスを取って爪とぎだってできた。たとえ脚がなくても、子猫は生きようとする気持ちを失ってはいない。当時のブログには、「猫の神様は、ちゃんと生きていかれる能力をくれたんだね」と、感動をもって綴られている。

 溝上代表によると、「初代『あんよ』も、本当に穏やかで人懐っこい、とてもいい子でした。なぜか障害を持っている子には、いい子が多いんです」とのこと。子猫は、強くしっかりと歩んでいけるようにと願いを込めて、「あんよ」という仮名をもらった。

虹の橋を渡っても、「あんよ」という名前は願いとともに生き続ける

  • 家族と幸せに暮らした「コチビ」(写真:ねこけんブログより)

    家族と幸せに暮らした「コチビ」(写真:ねこけんブログより)

  • 名前を受け継いだ二代目「あんよ」(写真:ねこけんブログより)

    名前を受け継いだ二代目「あんよ」(写真:ねこけんブログより)

 その後、体調を崩すこともあったが、すくすくと育っていく初代「あんよ」。やがて、そんな「あんよ」にも赤い糸が結ばれ、「ぜひ家族に迎えたい」という人が現れた。

 「その方の家にはすでに、後ろ脚を片方切断している先住猫がいて。そのため、ご自宅はバリアフリーになっていて、脚が悪い子でも快適に暮らせるようになっていました。初代『あんよ』のように障害がある猫だと譲渡は難しいと思われがちですが、実はそうした猫こそ家族に迎えようという人が一定数います。優しい方々のおかげで、そんな猫たちも幸せに生きていくことができます」

 「“かわいそう”だからではなく、“可愛いから”」。そうして優しい家族に巡り合った初代「あんよ」は新たな名前をもらい、「コチビ」として生きていくことになった。新たな家では、前脚2本で階段を上がるなど、できることもたくさん増えたという。家族の愛情にたっぷり浸り、可愛らしく、幸せに暮らしていた。

 ずっとずっと、そんな「コチビ」の日々は続くかと思われたが、3月初旬に突然の訃報がもたらされた。一番つらいのは「コチビ」の家族とは思いながら、送り出した『ねこけん』のボランティアメンバーも悲嘆にくれたという。

 だが「コチビ」は、障害があっても前へ進むことができること、生きていける強さがあること、そして愛情と幸せを分かち合えることを教えてくれた。家族にも、『ねこけん』にも、たくさんの宝物をくれたことは間違いない。

 「『コチビ』のほかにも、うちには障害があったり、体が不自由だったりする猫たちがたくさんいます。それでも、幸せに生きられる、生きる権利があることを知っていただきたいです」

 虹の橋を渡っていった「コチビ」。もっともっとその幸せを見守りたかったけれど、もう会うことは叶わない。だが、最初にもらった「あんよ」という名前は二代目に受け継がれ、「強くしっかりと歩んでいけるように」という願いとともに、今も生きている。

■NPO法人『ねこけん』(外部サイト)

■『ねこけん』オフィシャルブログ(外部サイト)

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