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「“のだめ”ってmiletみたい」友達の一言で聴き始めたショパン miletが愛するクラシック音楽3選

メタル系バンドも大好き「バランスを取っているのかも」

――クラシックを聴いたり、演奏したりしてきたことは、現在の音楽活動にも影響がありますか?
あると思います。たとえばハモリを付けたり、和音を組み立てるときもそうなんですけど、プロデューサーさんから見ると、J-POPにはない感覚があるみたいで。それはたぶん、クラシックから来ているんだと思います。

クラシックって不思議なハーモニーを重ねていることも多くて。私は主旋律に対するハーモニーを鼻歌で歌うのが好きだったので、そうやって培われたものから生まれるものもあるのかなとも思います。ストリングスや管楽器のアレンジもそう。「こういうメロディーがいいな」という感覚で作ったものが、実は理論的に成り立っていたりするので。

――なるほど。ちなみにロックも好きだそうですが、入口はどのあたりだったんですか?
小学校のときに聴いたクーラ・シェイカーやレディオヘッドですね。お兄ちゃんが聴いていて、カッコいいなと思って。ポストロックだと、シガー・ロスやムームなどのアイスランドのバンドが好きで。声を楽器のように使うところがすごいなって。日本のバンドだと、最初に好きになったのはブンブンサテライツ(BOOM BOOM SATELLITES)さんです。

BOOM BOOM SATELLITES『PUSH EJECT』

――激しいサウンドも好きなんですか?
大好きです! クラシックを聴いてきた反動ですかね(笑)。自分の感情の行き場が見つからないときは、激しいロックを聴くことが多いかもしれません。スリップノットとか、メタル系のバンドも大好きで、バランスを取っているのかもしれませんね。

全編日本語詞の新曲『Ordinary days』に込めた妹への想い

――7th EP『Ordinary days』についても聞きます。タイトル曲『Ordinary days』は曲名どおり、“普通の日々”の素晴らしさ、愛おしさを描いた楽曲ですね。miletさんの楽曲は英語と日本語が混ざった歌詞が多いですが、この曲はすべて日本語ですね。
はい。日本テレビ系水曜ドラマ『ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜』の主題歌のお話をいただいてから、まずワンコーラスのデモを作ったんですけど、その時点で「日本語がしっくりくるな」と思いました。私の中で伝えたいメッセージも明確でしたし、サビの「君の隣で笑うより 君に笑ってほしいのさ」というフレーズが出てきたときに、「このまま伝えたい」と思って。だったら、全部日本語で歌おうと。

milet『Ordinary days』MV

――そのメッセージは、リスナーの方々に向けられてるんですか?
ファンのみなさんと家族を想って書きました。家族の中でも妹を想って書きました。妹が落ち込んでいる時期があって、一緒にいるときはずっと抱き締めているような関係なんですけど、なかなか会えなかったので、「だったら歌にして届けよう」と思って。振り返ってみると、いつも私ばっかり笑っていた気もするんですけど、「本当はあなたに笑ってほしいんだよ」という気持ちを伝えられたらなと。そういう思いは私だけじゃなくて、いろんな人に当てはまると思うんですよね。

7th EP『Ordinary days』通常盤

7th EP『Ordinary days』通常盤

――そうですよね。“何でもない日の素晴らしさ”も、多くの人が実感しているでしょうし。
コロナ禍で会いたくても会えない、行きたくても行けないなか、みんな頑張っている。でも、ふとしたところに楽しいことやうれしいこともあると思うんです。当たり前だと思っていた景色を美しいと感じたり。この状況を全部マイナスと捉えるのではなくて、少しでもポジティブに受け止めることができたら、世界の見え方、自分自身の生き方も変わってくると思うんです。

「歓声もない 正解もない ゴールの向こう」「君がいるなら 頑張ってみようかな」という歌詞もそう。今はライブもスポーツ観戦もお客さんは声が出せないじゃないですか。私もライブをやっていて、「みんなの声に力をもらっていたし、道標になってたんだな」と実感しています。それがないことは不安だけど、でも、だからこそ「そんなことはない!」って歌いたいんですよね。私自身も皆さんに支えられてきたし、こういうときだからこそ、お返ししたいんです。

――『Ordinary days』のアレンジは、どこかクラシック音楽のテイストが感じられますね。
そうかもしれないですね。プロデュースをお願いした蔦谷好位置(つたや・こういち)さんもクラシックを学ばれてきた方ですし、ピアノのフレーズやコードの構成にもクラシックのルーツが感じられて。蔦谷さんとは去年、ラジオの番組で初めてお会いして、「一緒に曲を作りたいね」と言ってくださっていて。すごく波長が合うし、念願が叶ってうれしかったですね。

ツアー中だからこそ生まれた曲 真骨頂のダークなバラードも

――2曲目の『Time Is On Our Side』もポジティブな波動が感じられる楽曲だなと。
今ツアー中なんですが、「ライブでみんなと楽しめる曲がほしいな」と思って制作に取りかかった曲なんです。

――歌詞の中に「セットリスト」という言葉もありますね。
それもツアー中だから出てきたのかも(笑)。私は今までそんなにライブをやっていませんでしたし、ツアーも6月5日からスタートした『milet 1st tour SEVENTH HEAVEN』(7月22日まで)が初めてで。ステージに立つことで、「こういう感じの曲があれば、もっと華やかになるかも」とか「みんなと一緒に盛り上がれるかも」みたいなアイデアも出てきて。『Time Is On Our Side』は、まさにそういう曲ですね。

Aメロはささやくように始まって、サビで一気に広がっていく構成も好きだし、みんなで歌えるようなコーラスもいっぱい入れたので。いつか、みんなと一緒に歌えることを楽しみにしています。
――続く『Castle』はエレクトロ系のトラックがすごくカッコよくて。途中でmiletさんの笑い声が入ってますね。
そうなんです(笑)。たまたま笑ったときの声までを録っていただいていて、「これも入れよう」って。これまでに何曲も一緒に作っているTomoLowくんというクリエイターと、「この音いいね」「このフレーズも入れちゃわない?」というような自由な感じで作りました。メッセージを込めたり、カッコいい曲を狙うのではなくて、音の素材で遊んでいるような、音感を楽しめるような曲ですね。

――遊びの延長みたいな。
歌詞はマジメに音ではいろいろチャレンジして書きました。『Castle』のテーマは「若気の至り」というか、「二人で作り上げたはずの城が、実は不安定でもろかった」という歌なんです。「あなたに私は必要ないし、私にもあなたは必要ない。終わりにしましょう」っていう。遊びながら作ったサウンドとのギャップもいいのかなと。
――確かに。そして4曲目の『Hit the Lights』はシリアスな雰囲気のバラード。こういう曲、本当に似合いますね。
ありがとうございます。表題曲が明るいので、ダークな一面も盛り込みたいなと思って。歌っていて心地いいし、しっくり来ますね。楽曲の原型を作ったのは1年半くらい前なんですけど、私、夜をテーマにすることが多いんですよ。『Hit the Lights』もそうで、「この夜を乗り越えたい」という気持ちと「もう無理かも」という不安、両方ありますね、この曲には。

初ツアー、初フジロック…「燃え尽きるまでやりたい!」

――miletさんの幅広い音楽性がたっぷり味わえる作品だと思います。この夏は7月22日までツアーを行い、8月には『フジロックフェスティバル’21』にも出演と、ライブが続きますね。
フジロックはクーラ・シェイカーが出演した年(2016年)に観客として行ったことがあって、「こんな場所で歌えたら最高だな!」と思っていたんです。まさか自分がステージに立てるなんて夢にも見ていなかったようなフェスなので、初フジロック、すごくうれしいです。フジロックへの愛を持って歌いたいなと思います。コロナ禍でたまっていたものもあるし、ツアーを含めて、燃え尽きるまでやりたいです(笑)。何でもやってやる!という気持ちなんですよ。
――では、最後に、miletさんにとってクラシック音楽とは何でしょう?
「自分の中を見つめる鏡」みたいな存在ですね。自分のことを見つめ直すときに必要不可欠なもので、クラシックを聴くと気持ちが安定するし、高ぶって前が見えなくなっているときも落ち着かせてくれるし、常備薬みたいなところもあるかも。スコアだけを持ち歩いたりもしていて、実際に音楽が鳴っていなくても、譜面を見て頭の中で音を鳴らすだけでもすごく心が落ち着くし、それほど欠かせない大切な存在です。
プロフィール

milet

milet

milet(ミレイ)
東京都出身。思春期をカナダで過ごし、2018年から本格的に音楽活動をスタートしたシンガー・ソングライター。2019年3月6日にメジャーデビューし、ONE OK ROCKのToruさん(Gt)がプロデュースしたデビュー曲『inside you』はiTunesなど音楽配信サイトで11冠。2019年12月放送のTOKYO FM『桑田佳祐のやさしい夜遊び』年末恒例企画「桑田佳祐が選ぶ、2019年邦楽シングル・ベスト20」では1位に選出された。1stフルアルバム『eyes』(2020年6月発売)はオリコン週間アルバムランキング、週間デジタルアルバムランキングで共に初登場1位を獲得。2020年末にはデビュー2年目にして『NHK紅白歌合戦』に初出場した。
作品情報

7th EP『Ordinary days』(2021年8月4日発売)

7th EP『Ordinary days』(2021年8月4日発売)
表題曲『Ordinary days』は、戸田恵梨香&永野芽郁主演の日本テレビ系ドラマ『ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜』主題歌。全編日本語の歌詞で、楽曲プロデュースは初タッグとなる蔦谷好位置氏が担当した。カップリング曲として『Time Is On Our Side』『Castle』『Hit the Lights』が収録される。CDリリースに先駆け、表題曲『Ordinary days』を7月14日から先行配信中。
この記事について
この記事は、LINE初の総合エンタメメディア「Fanthology!」とオリコンNewSの共同企画です。
俳優・歌手・芸人・タレントらの趣味嗜好を深堀りしつつ、ファンの「好き」を応援。今後、さらに気になる人の「これまで」と「これから」をお届けしていきます。
⇒この記事をオリジナルページで読む(7月28日掲載)

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