錦戸亮、吉田大八監督との再タッグで見せた“プロデュース力“ 自身の表現失わず地に足ついた提案を意識

錦戸亮

 歌手で俳優の錦戸亮(36)が、7月より展開されるAmazon Music『Music4Cinema』プロジェクトで、吉田大八監督(57)の作品『No Return』で主演を務めているほか、主題歌も担当している。2018年公開の映画『羊の木』以来、3年ぶりにタッグを組んだ2人。インタビューを通じ、互いに抱いている “本音”が垣間見えた。

 Amazon Musicが「音楽 × 短編映画」という組合せで、Amazon Musicオリジナル作品を制作するという同プロジェクト。吉田のほか、内山拓也、関根光才、空音央という4人の監督が「現代ユースの視点」をテーマに、オリジナル脚本を執筆。4つの物語は互いに無関係で、ショートフィルム1本あたり15〜20分程の長さで物語を描いている。

 また、作品ごとに錦戸、アイナ・ジ・エンド、HIMI、Corneliusが楽曲を書き下ろしており、各アーティストのオリジナル曲がAmazon Musicで独占配信される。7月からAmazon Musicでの楽曲と映像配信のほか、Amazon Prime VideoとAmazon Music 公式YouTubeにて公開を予定している。

環境が変化した錦戸へ 作品に込めたエール

 錦戸と3年ぶりにタッグを組んだ理由について、吉田監督は「15分という時間の使い方として、密度や純度はできるだけ高いほうがいいなと思ったんです。その時に、主演と音楽を一人で担える人を知っているぞ、と思いついた。短編ならではのバランスで出来るんじゃないかなと、彼に声をかけました」と経緯を振り返った。

 直々に“ご指名”を受けた錦戸は「僕自身、ここ数年で環境がガラっと変わって、(演技で)せりふというものを全然言ってなかった」という。「(今回のオファーは)純粋にうれしかったですし、すぐに『やりたいです』と言った。頑張ろうって思いました」と当時の心境を語った。
 ショートフィルムの題名は『No Return』。脚本を書く上で吉田監督がこだわったのは“錦戸のどういう顔を見たいか”。「完全アテ書きで、久しぶりにお話の中で動く錦戸亮を想像するのは楽しかった。(ストーリーは)夢の中のことなので何をやってもいい。関西弁でケンカする錦戸くん見たいなとか、それくらいの思いつきで自由に書いていった」と、その意図を明かした。

 吉田監督は、作品に込めた思いについて「特にメッセージしたかったことはない」としつつも、「自分より下の世代に対して『みんなこれからどうやって生きていくんだろう』とか、年上として感じていることが、自然とその見つめ方に反映された部分はあったと思う」と解説する。
 作品は環境が変わった錦戸に対する、吉田監督からのエールとも取れる。「この歳で環境が変わるってことは、きっといろいろ不安もあるだろうなと。そういう気持ちがいつの間にか、にじんだところがあるかもしれない。あんまり意識はしてなかったつもりなんですけど」と笑みを浮かべた。

試行錯誤の主題歌制作、期待を原動力に変換

 錦戸にとって作品の主題歌を制作するのは、今回が初めて。「どこまで応えられるのか、自分がどこまでできるのか、正直わからなかった」と葛藤があったという。「いつも自分が言いたいことだったり、その時思いついたことを曲にしていたが、1個の作品の中に溶け込めるようにやるにはどうしたらいいのか考えた」とアプローチを明かした。
 しかし、楽曲制作は予想以上に困難を極めた。「今回作った曲ができるまでに原型からだと3ヶ月くらい。もっとなのかな? めちゃめちゃ時間かかったんですよね。試行錯誤して、回り道をしながらやっていた」と述懐。「いろんな回り道をして、すごい自分の気持ちばっかり書いてしまうときもあった。何度も行ったり来たりして…。逆に何も考えず、『もう1回ゼロでちゃんと書いてみよう』と思って書いたのがほぼほぼその形になった」という。「何よりも監督の期待に応えたい」。その気持ちが原動力だった。
 今回の楽曲制作を終えた後、「自分の曲を作ったら1日で出来ましたね(笑)。それがあったからこそ1日でできた。意見をあおぎながらやることはなかったので、僕にとっても良い経験になった」と、ミュージシャンとして確かな自信につながった。

吉田監督が気づいた錦戸の“新たな才能”

 楽曲制作を依頼したことで、吉田監督は錦戸の“新たな才能”に気づくことができたという。「音楽をブラッシュアップしていくやり取りの中で思ったが、(彼は)プロデュース目線がある」とし、「監督の僕が求めてるものはこうだから、自分のやりたいことを脇においた上でそれにまず応える。そして、応えていく中で自分の表現にしていく」とその手腕を絶賛した。
 その言葉を受け、錦戸は「僕自身、自分をプロデュースしているという意識は全くない」と謙そんする。「自分がこれをやるなら『どうやったら成立させられるかな』ということは考える。地に足がついてないようなことばっかりやっていても仕方がない。僕に出来る最大限のおもてなし、こちらから提示できるものを、見極めようとしている」と意識していることを明かした。

 吉田監督は撮影現場での錦戸の姿勢を例に挙げ「結局は映画全体を成立させることが、俳優として最大のパフォーマンスなんだと納得するのがすごく速い。見極めの速さはここ何年ではなく、キャリアの早い時期からの訓練で身についたのかなと思います。(環境が変わり)責任が増した分、よりシリアスになったんだろうな」とその変化を語った。
 吉田監督から面と向かって賛辞を送られるも、錦戸はまだその実感がないようで「もっと時間がたったときに『あ、あれもしかしたらきっかけなんやったんかな』って思えるようなこれからを作っていけたら」と笑顔で語った。

作品情報

Amazon Music『Music4Cinema』プロジェクト『No Return』
監督・脚本:吉田大八 主演・主題歌:錦戸亮

<あらすじ>
「昨日見た夢の話、聞いてくれる?」
自分はまだ若者だ!と胸を張れない、でもおじさんと呼ばれる覚悟もまだできていない、ごくありふれた日常を送る30代前半の男。
彼がふと思い出した昨夜の夢を語り始める時、過去と現在が歪み始める。
今ここにある世界は、現実なのか夢なのか。
夢でみたあの人は、かつて会った誰かなのか。
崩壊の予感のなか、歌は流れ続ける。

プロフィール

錦戸亮
1984年大阪府生まれ。
俳優として数々のドラマや映画で主演を務める。
2019年10月よりソロ活動をスタート。自身主宰レーベル「NOMAD RECORDS(ノマドレコーズ)」より、12月にファーストアルバム『NOMAD』をリリース。すべての楽曲の作詞・作曲・プロデュースを手掛けている。
今年1月には2ndアルバム『Note』をリリースし、全国ツアーも開催。

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