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『全裸監督』の監督「世界に向けて“不届き”な作品を」 国内の映像業界は“人材”の宝庫

「何故、今この作品?」潮流に乗らない作品が当たる法則 “悪魔の囁き”的、作品作りとは

 「とは言え」と、武監督は続ける。「何でもOKというわけでもありません。国や宗教によってはダメな表現もありますし、日本人には伝わっても、違う文化の人たちには伝わらない表現もある。Netflixで私が感心したのは、そのバランスを考えられる、精査できるスタッフがいること。世界で展開し、海外を視野に入れたサービスならではでしょう」

 逆に、従来の映画やテレビドラマなどの利点も聞いた。「私のような“悪魔の囁き”的な作品作りをする方もいれば、興行収入など収益を重視する方もいる。いわゆる“商品”としての作品作りです。アニメや家族で観られる映画などがヒットしやすい現状ですが、“日本人はこれが好き”というマーケティングで制作すれば、収益が見込める。ただ、ヒットすれば似たようなテーマの作品ばかりになり、低予算で当たれば、また低予算でできる企画ばかりになる。付和雷同で同じような作品が乱立しないよう、しっかり企画を立てる必要は感じます」

 そんな武監督だが、そんなマーケティング文化とは別の軸にいる。普通、企画会議などでは「何故、今これをやるのか?」と必ず問われる。時代における作品の必要性は重要だ。しかし、武監督は「『何故、今これなの?』という作品こそが当たる。誰もやらないわけだから。僕にとっては踏み絵。褒め言葉。それを言われたら『しめしめ』と思う」と笑う。

 同作で武監督にも再発見があった。「良い環境で海外へも向けて作品を発信する際、これを実現してくれる一流のスタッフやキャストが日本にもまだまだいる、ということです。そんな彼らとまた“不届き”な作品を作っていきたい。より不届きな人、面白おかしく描ける人間を探して作品にしたいですね」

(取材・文/衣輪晋一)

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