• ORICON MUSIC(オリコンミュージック)
  • ドラマ&映画(by オリコンニュース)
  • アニメ&ゲーム(by オリコンニュース)
  • eltha(エルザ by オリコンニュース)
ORICON NEWS

『全裸監督』の監督「世界に向けて“不届き”な作品を」 国内の映像業界は“人材”の宝庫

視聴者の意見を恐れるのが今のテレビの問題点「Netflixには苦情を良しとする風潮がある」

 シーズン2の山田孝之の演技、現場の姿についても聞いた。「カメラが回ってないところでは喋らない。それぐらい役に入っていた。村西さんが落ちていく姿を演じるのは「辛い表現だったろう。順撮りではないので、村西さんが調子がいい時と悪い時、一日置きに撮影があったりする。ある日、小さな声で『最後まで持つかな』と独り言を言ってらっしゃったのも耳にしました。それぐらい厳しい役を引き受けてくれ、山田孝之という俳優の底力を観させて頂きました」

 前作から引き続き、黒木香を演じる森田望智は「シーズン1で黒木さんを誕生させ、森田望智という女優が開花した瞬間も生まれたんですけど、シーズン2に関してはその本領が発揮されています」と解説。新たなヒロインで、後に村西の妻となる乃木真理子を演じた恒松祐里については「よくぞ『全裸監督』に入門してくれた。出演は悩むと思いますよ。激しいラブシーンもありますし。ですが山田さん、森田さんらのシーズン1があったからこその『私もやってみたい』で、女優の気持ちを動かせたことは光栄。また恒松さんがそうした役を演じたことで、さらに触発された若い俳優が出てきたらいいと思うし、そういう連鎖が起こればうれしく思う」と語る。
 同作は村西とおるという人物と、その周囲の人々の群像劇になっている。武監督は「アダルトビデオ業界や村西さんを称賛する作品ではない」と念を押す。「これは逆に、そこへ反省を求めて作っている話なんです。私自身も80年代という時代を、いい加減に過ごしていた。当時調子良くワーワーとやっていた人たちが、今や日本経済の“戦犯”と言われることもあります。さらにはパワハラも横行していた時代、その時はそれを良しとして生きていた一面と、私を含めて当時への反省を同作で促しているのです」

 その上で作品についての持論も展開する。「感動よりも戦慄。最初から感動を狙いに行ってはダメなんです。まず驚きや不快感があって、その後に感動が起こる。世の中にはクソのような大人もいる、苦しんでいる人もいる、現実は甘い世界じゃないけど、こんな素晴らしい世界もある、ということを伝えたい。先ほど私たちの仕事を“不届き”と話しましたが、だから叱られることがあるのも当たり前。テレビドラマなどはそういった作品とは違い、“商品”を届けるものなので、視聴者に叱られることを恐れる。Netflixの面白いところは、『良いことにも悪いことにも、寧ろどんどん意見をください』という、フィードバックを良しとする風潮があることなんです。そして、それを1つの意見として次に生かす。お金を払って視聴者が作品を選ぶ媒体だからこそできていることですよね。窓口を作らないで、自主規制をせざるを得ないのが、日本の今のテレビの現状・問題点なのかもしれない」

あなたにおすすめの記事

 を検索