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『おはスタ』23年間、変わらず伝え続けるポジティブな世界観 「子どもたちに不安を与えない」番組Pの想い

「“コロナ”と言わない」元気な1日を後押しする番組づくり

 図らずもコロナ禍でさまざまな盛り上がり要素が加わった「明日をつくろう」プロジェクト。しかし同時間帯の他局でコロナのニュースが引きも切らない中、『おはスタ』では「コロナ」というワードを使ったことはこれまで一度もない。

「子どもたちが元気に1日をスタートできるように背中を押すのが『おはスタ』の役割。コロナに限らず、悲しいトピックは取り上げないのが番組のポリシーです。『手洗い、うがい』」の呼びかけなんかは、コロナに関係なく昔から行っていますしね」

 そのほかにも子どもたちを不安にさせないための配慮は番組の端々に凝らされた。

「たとえば一斉休校が始まって以降は、番組最後の定番フレーズ『今日も元気に、行ってらっしゃい』を言っていません。毎回スタッフで相談して、学校に行くことを前提とはしない、だけど前向きな1日が始まりそうな言葉を捻り出しています」

 放送開始から23年、いつの時代も変わらず子どもたちに寄り添い続けてきた『おはスタ』。そのどこまでもポジティブな番組の世界観は、世相が暗く沈みがちなときにこそ力を発揮するのかもしれない。

 楽曲に携わったソニー・ミュージックのプロデューサーは『明日をつくろう』のイメージとして、「『上を向いて歩こう』や『明日があるさ』のキッズ版。遠い未来ではなく、ほんのすぐ先にある未来=明日への希望やワクワクした気持ちを抱けるような楽曲を目指しました」と普遍的なメッセージを込めたことを語っている。

 数々の歴代出演者たちが番組に登場して合唱に参加する『明日をつくろう』プロジェクトは、10月2日放送分でひとまずのフィナーレとなる。しかしさまざまな思いを残すこととなった2020年に歌って踊ったこの楽曲は、現代の子どもたちにとって大人になっても忘れられない1曲となったはずだ。
(文/児玉澄子)

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