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ドーム50公演を発表した嵐、本格ブレイクから10年以上経過しても変わらぬ人気の秘密

早い時期に個が“突出”しなかったことも奏功? グループありきの姿勢

 また嵐は、早い時期に個々が過度に“突出”しようとしていなかった、という特徴もある。“集団やグループの中でいかに目立つか?”ということも、アイドルにとって大事なことではあるが、嵐にそういった「俺が俺が」という雰囲気はあまり感じられない。彼らとしては、嵐というグループが何よりも、自分よりも大切。ブレイクのきっかけとなった松本主演の『花より男子』のように、メンバーはそれぞれドラマ・映画で早々に主演をしたり冠番組を担当してはいるが、たとえ個人仕事だとしても、自らを高めることがグループの底上げになると考えている節がある。そんな様子は視聴者からも好意的に受け入れられ、ポピュラリティーを獲得し得たのではないか。

 『5×20』東京ドーム公演を見ていても感じたが、観客を前にしても、各々が変に個性を打ち出すのではなく、嵐というグループ“そのもの”を魅せていた感があった。それは、大野智が「嵐のアイデアマン」と称し、コンサート演出を支える松本への信頼の厚さも影響しているだろうが、とにかくステージでも“5人の中の1人”であろうとしているように見えた。二宮は、「5人でいるときもそうだけど、1人で仕事をしているところで色々な経験をさせていただいて。それを持って帰ってグループで活動するので、メンバーとも飽きることなくずっと一緒にいられます」(『平成31年用年賀状 引受セレモニー』出席時)と話していたが、彼らにとって嵐は「帰ってきてひとつになれる、飽きることのない場所」なのだ。

5人であることの大切さを知る嵐、変わらぬ人気と動員力の秘密は?

 「ジャニーズ事務所のトップアイドルとはいえ、何が起こるかわからない昨今。嵐であること、5人であることの大切さをメンバーもわかっている。『5×20』公演でも、パフォーマンスはもちろん、そんなメンバーの思いが伝わる場面が多々ありました」と衣輪氏。公演前の会見でも櫻井翔は、「福岡公演あたりから、“本番前は鍋じゃない?”という話になって」と明かし、松本や二宮と鍋を囲んでいる話を披露。大野と相葉はともに筋トレを行っていると話し、アイコンタクトを取りながら仲睦まじさを見せていた。また、櫻井は「感謝を表す年にしたい。1回でもファンの方に生の嵐のライブを見てもらいたい」とも語り、今回発表されたツアーがファンへの思いを具現化したものであることを明かした。

 同会見では、18年を振り返る「漢字一文字」を答えたメンバー。松本は「変化の『変』」、二宮は「こんなに長いツアーは初めてだし、新たな出会いもあったので『新』」と。相葉は「終わらない。続くですね。『続』」と答えた。デビューから20年、本格的ブレイクから約11年が経っても、変化を恐れることなく新鮮さを持ち、ここからも続けていきたいという彼らの姿勢。“国民的”と言われるまでに大きくなっても、ファンを飽きさせることなく、歩みを止めることもない。ドーム50公演を行うほどの現在の人気と動員力の秘密は、そんな彼らの考え方が関係しているのかもしれない。嵐の活動は今後も、“変化”し、“新しさ”も感じさせながら、どこまでも“続”いていくだろう。

(文/中野ナガ)

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