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【ライブレポート】嵐が見せたアイドルの誇り、5人が挑む破壊と創造

「俺らまだまだこんなもんじゃない」という宣言のよう

 バラエティでも活躍するアイドルらしく、相葉雅紀、櫻井翔、大野智によるユニット曲でヤマンバのコスプレに挑戦したり、適度に笑えるパートも挟みながら、踊って聴かせて魅せて煽って…。緩急のついた完璧ともいえる構成の中で、いい意味で期待を裏切られたのがアルバム曲「未完」の演出だ。

 デジタルサウンドが特徴的な、変拍子の、クラシックからヒップホップまで様々なジャンルの音楽を繋ぎ合わせたようなまさに“未完成の”楽曲。その前の曲はアンセムのような「Song for you」で、従来の王道パターンであれば、それでエンディングを迎えるのが定番のイメージだっただ。だが今回ばかりは、ギリギリまで一緒に愛の嵐の中にいながら、最後の「未完」で、まるでつないでいた手をそっと離して、次のステージへ向かっていくようで。それはまるで、「俺らまだまだこんなもんじゃない」という宣言のようでもあった。

アイドルであることに誇りを持ち、破壊と創造を繰り返す嵐

 こんなにも完成度の高いものを生み出しながら、次の年にはまったく違うものを創り上げなければならない。もっと驚かせたい。もっと楽しませたい。そうやって、彼らは破壊と創造を繰り返す。嵐は、ライブアーティストとして常に最先端を目指している。アイドルとして歩む道に、ゴールも完成形もない。ただ全力で、走り続けるだけだ。そんな、トップアイドルとしての宿命を引き受けた彼らは、とても逞しく、ピュアで、愛情深く、さらに年齢を重ねて人間としての味わいが、どんどん深まっている。

 バラエティや映画やドラマや舞台やCMや情報番組やニュースで、アートで、嵐のメンバーは様々な顔を見せる。でも、彼らの真価が発揮されるのはライブだ。これが嵐の決定版で、それは同時に、アイドルのライブの決定版でもある。アーティストとかミュージシャンと呼ばれるより、嵐の5人は5人ともが、アイドルであることに誇りを持っているように見える。アイドルの無限の可能性を追いかけているように見える。

 だから、ライブを見るたびに思うのだ。これが嵐だ。これがアイドルだ。これこそが地上の楽園だ、と――。
(文:菊地陽子)

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