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【KinKi Kidsライブレポ】ホームグラウンド東京ドーム、音楽と美と漫談で魅せるエンタテイメントの最高峰

アリーナより増す難しさ、ソロで5万5千人をまとめ上げる

 アリーナツアーでは、それぞれのソロコーナーを設けていたが、今回も、曲目を若干変えて、堂本光一は魅せるダンスを中心とした、堂本剛はバンドとのファンクセッションをメインにしたソロコーナーを継続。ダンスでは、5万5000人の目をステージ上で踊る光一という、その一点に集中させなければならないし、ファンクセッションでは、インストゥルメンタルという極めて感覚的な音楽で、5万5000人の感情に揺さぶりをかけなければいけない。これが1万人の、肉眼で彼らの汗や指先の動きを確認できる規模ならともかく(1万人でももちろんすごいが)、どうしたってステージとの距離が開き、空気中の張り詰めた緊張感が薄まりがちなドームで成立するのか。セットリストを観たときに湧き上がったそんな懸念も、すっかり杞憂に終わった。

 光一のダンスは、光一にしかできない観客を巻き込んだインスタレーション(空間を作品として体験させる芸術)だったし、剛本人のベース演奏から始まるファンクセッションは、誰もが固唾を飲んでステージを見つめた光一との緊張共有体験の真逆の、自由に体を音楽に委ねるという緩和体験で、いずれにせよ二人は、正反対のやり方で東京ドームを一つにまとめ上げたのである。剛が、セッションの最後に、空に向けて示した指の本数だけジャンプするという、ファンク&ジャンプセッションは、一瞬、東京ドームが屋外に感じられるほどの開放感が炸裂していて、爽快だった。

“KinKi Kids”という音楽ジャンルが、紅白にどんな爪あとを残すか

 あらゆる意味で、KinKi Kidsのライブに“境界”はない。デビュー20周年イヤーを前に、初めて『NHK紅白歌合戦』に出場する彼らは、「硝子の少年」を歌うといっても最早“少年”ではないし、その音楽の極め方は、世間が考える“アイドル”の範疇を超えている。勇気や夢や元気とは違うエネルギーを届けながら、でも、ジャニーズの伝統のようなものは強く感じさせてくれる。

 アーティストで、ミュージシャンで、歌手で、優れたダンサーで。パフォーマンスでは妖しさや刹那の雰囲気を醸しつつも、MCでは漫談上手。そんな“KinKi Kids”という音楽ジャンルが、紅白にどんな爪あとを残すのか。彼らの武器は、なんと言っても聴覚と視覚の両方に訴えるそのハーモニー。珠玉の“Harmony of December”が、一人でも多くの人に届くことを願う。

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