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RADWIMPS野田洋次郎ソロプロジェクト・illionインタビュー「11年間やってきて今が一番楽しい」

大人になったんだと思う(笑) 他人の言うことを聞くようになった

  • 『P.Y.L』初回限定盤のアートブックのイメージ写真

    『P.Y.L』初回限定盤のアートブックのイメージ写真

――『君の名は。』にまつわるテレビ出演や、昨年の映画出演、さらには『ミュージックステーション』初出演など、表だった活動が続いていますね。これまで、RADWIMPSや野田さん自身は、長いキャリアのわりには、どこかベールに包まれた存在という印象が強かったのですが、ここ最近、気持ちが外に向いているという感覚があるのでしょうか?
野田洋次郎 そうですね……僕が大人になったんだと思います(笑)。人の言うことを聞くようになったというか。それは、自分にとって、相当大きなことで。昔は、あまり(人の意見を)聞かなかったので(笑)。

――そうした影響があるのかどうか定かではありませんが、『P.Y.L』を聴いても、デスクトップで作り込んだ作品にも関わらず、いい意味で内面に向かい過ぎず、外に開いた作品のように感じました。
野田洋次郎 作っていた時の自分のマインドとしては、完全にプライベート空間で作っていたわけですけど、もしそう聴こえたのだったら、嬉しいですね。音が開いているのかな……確かに、根を詰めて、真っ暗な中で作っていたというわけではなくて、本当に楽しみながら制作しました。今は、音楽を作ることがずっと楽しいんです。『P.Y.L』を作れたからこそ、今は、以前よりもさらにRADWIMPSに深く戻れている感覚もあって。RADWIMPSの強靭なポテンシャルに改めて気付くし、RADWIMPSにしかできないことも分かるんです。それに、メンバーがどんどんパワーアップしていることも感じる。昔は、ずっとRADWIMPSの中だけにいて、特にそれほど表に出なかったこともあって、自分たちを取り囲む壁がどんどん分厚くなっていって。そうなると、やっぱり危険と隣り合わせというか、酸素が薄くなっていくんですね。外から見た自分たちというものが、あまり見えなくなる。そう考えると、今は、とても風通しがいい気がします。

――音楽以外も含めて、いろんな活動を積極的に展開することで、表現の仕方や伝え方が変わってきたというよりも、いろんな表現手段や手法を手に入れたという感覚ですか?
野田洋次郎 その通りですね。あとは、昔よりも、人を信じるようになったというか。奇跡のような巡り合わせや、直感を信じられるようになりました。今回、『P.Y.L』初回限定盤のアートブックでイラストを描いてくれたJaehoon Choiとも、実はInstagramで知り合ったんです。たまたま彼の絵を見つけて、すごく面白い絵を描く人だなと思ったら、韓国の方で。それで、直接DMを送ったんです。だから僕自身、SNSというのもが、新しいチャンスをくれたと思っていて。

音楽を発した瞬間に、誰かの中に僕の人格が育まれていく

――そうだったんですか。
野田洋次郎 しかも、アートブックを作るやり取りをしている間、直接話したことは一度もなくて、先月くらいに初めてSkypeで話したんです。だから半年間くらい、何歳くらいの人で、男なのか女なのかも何も分からない状態で、やり取りをしていたんです。それはすごく不思議な体験でしたね。一瞬、すごく可憐な女の子が、こんな猟奇的な絵を描いていたらすごいなと想像して、興奮もしたりして(笑)。

――(笑)。実際には、どんな方だったのですか?
野田洋次郎 ほぼ僕と同じ世代の、ちょっとポッチャリとした、メガネをかけた男性でした。想像とまったく違っていたんですけど、これがすごく可愛げのある男性で、余計に好きになっちゃいました(笑)。でも、そういうことなんだなって思ったんですよ。

――「そういうこと」というのは?
野田洋次郎 直接に会うということではないところで、人格が、誰かの中に生まれていくというか。僕の場合だったら、音楽を発した瞬間に、誰かの中に、どんどん僕の人格が育まれていって、勝手に嫌われて、勝手に好かれる。だからそれはどちらも、ほとんど同じような意味を持つんだろうなと思いました。

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