スティーヴ・アオキ、“トップDJ”であり続ける理由「常に変化すること」 来年日本で新プロジェクトを始動

 今年9月に開催された国内最大級のダンスミュージック・フェス『ULTRA JAPAN 2019』。世界的人気を誇るDJが数多く参加するこのフェスで、最も大きな注目を集めたのが、ヘッドライナーのスティーヴ・アオキだ。長年にわたってトップDJの座に君臨する彼に活動の流儀を聞くと共に、来年日本で発足させるという「新プロジェクト」についても、その構想の一端を明かしてもらった。
 スティーヴは1977年、アメリカ・フロリダ州生まれの日系アメリカ人。96年にデビューした彼は、2000年代に入るとダンスミュージックシーンで頭角を現し、12年発表の1stアルバム『Wonderland』で13年のグラミー賞にノミネート。14年、15年と連続でリリースされた『Neon Future』2部作もアメリカのダンスチャートでヒットを記録し、一般ユーザーからの投票によってトップDJを決める『America’s Best DJ 2015』でNo.1を獲得。
 アメリカの経済誌『Forbes』が発表している「世界で最も稼ぐDJランキング」(2019年)でも、ザ・チェインスモーカーズ、マシュメロ、カルヴィン・ハリスに続き4位にランクインするなど、“世界で最も知られるアジア系のDJ/プロデューサー”として君臨している。流行の移り変わりが早いダンスミュージックシーンにおいて、長年にわたってトップDJとしての存在感を示し続ける理由について彼は、「常に変化すること」を挙げた。

「安定は私にとって快適ではないのです。同じスタイル、同じツールで活動したほうが効率的かもしれませんが、それはつまらないし、刺激がない。音楽だけではなく、食べ物、ファッション、ライフスタイルを含め、冒険的な人生を送りたい。そのスタンスが自分の音楽にも反映されていると思います。ダンスミュージックシーンは確かに流行の動きが早いですが、大切なのはトレンドを追うのではなく、自分の感性を信じることですね」

合作は10回に9回は失敗 BTSとのコラボは「とてもうまくいったケース」

 その具体的な方法の1つが、さまざまなジャンルのアーティストとのコラボレーションだ。“コラボレーション・キング”を自認する彼は、これまでにリンキン・パーク、フォール・アウト・ボーイ、アフロジャック、ブリンク 182、ニッキー・ロメロ、ルイ・トムリンソン(ワン・ダイレクション)らとコラボ曲を発表。18年にはBTSをフィーチャーした「ウェイスト・イット・オン・ミー feat.BTS」がアメリカ、日本をはじめ世界各国でヒットを記録した。

「私は1年のうち300日くらいはライブをやっていて、世界中を回っているので、各国でいろいろなアーティストと出会うことができます。スペインでもブラジルでも、『これは誰?』と驚くようなアーティストがいれば、有名、無名かかわらず会うようにしていて。コラボレーションは簡単ではなく、10回に9回は失敗しますが、上手くいった時は『つながることができた』という実感を持てるんですよね。BTSとのコラボレーションは、とてもうまくいったケース。彼らは最初からオープンマインドで、まるでカジュアルに遊んでいるような感覚で曲を作ることができました。大事なのは、その国のカルチャーに対するリスペクト。お互いを尊重できないと、コラボレーションは成功しません」
 また、「アーティストはオーディエンスを楽しませるために存在している」とスティーヴ。“ライブ中にケーキを投げ込む”という彼の名パフォーマンスも、「特別な体験をしてほしい」というモチベーションから生まれたのだという。

「ライブはコミュニケーション。皆が好きな定番曲、少し変化を付けた曲を混ぜながら、興味を持ち続けられるように意識しています。ケーキを投げることは、『これこそ、スティーヴ・アオキのショーだ』という個性だし、オーディエンスにとっては忘れられない体験になると思うんですよね。10年前のライブでどんな曲をプレイをしたかなんて覚えていないだろうけど、『ケーキが耳に入った』とか『頭に付いたケーキを誰かがかじった』という体験は忘れないでしょう?(笑)。 ライブは耳だけではなく、すべての感覚で楽しむもの。そのなかには、味覚も入っているんですよ(笑)」

2020年、日本カルチャーを世界に発信する「新プロジェクト」を発足

 2020年、スティーヴは日本での活動に重心を置くという。その理由を聞くと彼は、「I’m Japanese」と答えた。

「もともと私は日本人ですし、人生のなかで何度も日本を訪れています。あらゆる国のなかで一番好きだし、音楽はもちろん、ファッション、カルチャー、アート、人を含め、多くのインスピレーションを得られるんですよね。日本人の友人もたくさんいますし、日本での活動を見据えて、来日のたびにいろいろな種を蒔いてきた。20年はしっかりと時間を取って、その種を育てたいと思っています」

 さらにスティーヴは、来年の早い時期に「新プロジェクト」を発足させることを表明。シンガー、ラッパー、DJなどはもちろん、スタイリスト、ゲーマー、ファッションデザイナーなども含めた、“クリエイター・コレクティブ”を立ち上げるという。

「いまやステージに上がるのはミュージシャンやDJだけではありません。日本には優れたアーティストやクリエイターが数多くいるし、皆さんの才能やセンスを集め、日本のいろいろな部分を表現できる場所を作りたいと思っています。排他的ではなく、多くの人が参加できるスペースにしたいですね」
 世界的知名度を誇るスティーヴが、ここ日本で立ち上げる新プロジェクトは、音楽、ファッションなどを中心とした日本のカルチャーを世界に発信できる絶好の機会となりそうだ。

「日本の文化に興味を持っている人は世界中にいますが、いまはその魅力が隠されている状態だと感じています。実際に日本に来て、見てみないとわからないこともたくさんあるし、今後はそれをどうプレゼンするかがカギになるでしょうね。私の新しいプロジェクトが世界に向けたゲートになることを期待しています」

 BTS、BLACKPINKのブレイクなどをきっかけに、アジアの音楽に大きな注目が集まっている現在。日本のアーティストが世界で活躍する可能性を聞いてみると、彼は笑顔でこう答えた。

「私がやれているんだから、できますよ。音楽は『ユニバーサル・ランゲージ』であり、世界中に共通している文化なので。そういうマインドセットを持って活動することが、まずは大事だと思います」

文/森朋之

提供元: コンフィデンス

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