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「ヒプノシスマイク」オオサカ・ナゴヤの登場は「ド派手に」 作家が語るサウンド制作秘話

 音楽原作キャラクターラッププロジェクト『ヒプノシスマイク』。今年9月に同プロジェクトの代表曲「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-」の新バージョン「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-+」が配信され、話題沸騰だ。楽曲を制作した2人組ユニット「invisible manners」は、HIP HOPを多くの人に聴かせるためにさまざまな工夫を施したと語る。

声に敏感な声優ファンとHIP HOPとの相性は抜群

  • 作編曲家、作詞家である平山大介(左)と福山整 (右)による音楽作家ユニット、invisible manners(インビジブルマナーズ)

    作編曲家、作詞家である平山大介(左)と福山整 (右)による音楽作家ユニット、invisible manners(インビジブルマナーズ)

─『ヒプノシスマイク』代表曲の新バージョン、オオサカとナゴヤの2つのディビジョンの6名のキャラクターが新たに加わった「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-+」の制作背景を教えていただけますか?

平山大介(以下、平山)新たに加わった6人のパートについては、あえてサウンドをド派手にしました。そもそもプロジェクト始動に合わせて発表した「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-」、12人で歌っているバージョンですね。こちらはヒプマイそのものの初登場ソングだったこともあり、「キャラクターラッププロジェクト」としての世界観や、12人それぞれのパーソナリティを紹介することに重点を置いて制作しました。

福山整(以下、福山)プロジェクトも2年経ち、12人もすっかり人気キャラになった。そうした蓄積がない分、新キャラの6人は不利な面もあります。だからこそ、最初から12人と並ぶくらいバッチリ印象付けたいという意図はありました。さっき平山くんは“ド派手”と言ったけど、むしろ「記号性の強いサウンドでキャラクターのパーソナリティを色分けすることにこだわった」と言ったほうがいいんじゃない? 

平山そうだね。制作の取りかかりについては、プロデューサーや制作の方から各キャラクターの説明をいただくわけですが、とくにナゴヤ・ディビジョンの3人についてはわりと明確な音楽的背景があったんです。なので、そこはそれこそ記号的に、たとえば「天国獄(あまぐに・ひとや)」というキャラのパートにはスラップのウッドベースを入れるなど。意外と「波羅夷空却(はらい・くうこう)」のパンク要素は難儀しましたが。

福山実はパンクのBPMって、HIP HOPのトラックにそのまま乗せるには早すぎるんですよ。だからそこは解釈を広げて、ロンドンパンクのレゲエの要素を入れて。で、「四十物十四(あいもの・じゅうし)」はヴィジュアル系バンドのボーカリストなので、もはやラップをせずに歌ってもらいました(笑)

平山オオサカ・ディビジョンの3人については、音楽ジャンルというより、キャラクターからサウンドを作っていきました。リーダーの「白膠木簓(ぬるで・ささら)」はピン芸人なので、新喜劇を元ネタにした音を。「躑躅森盧笙(つつじもり・ろしょう)」は教師なので、学園っぽさをイメージして音楽室のピアノみたいな音を入れました。

福山ヒプマイ最年長の「天谷奴零(あまやど・れい)」は詐欺師ということもあり、サウンドでも怪しい雰囲気を出してみました。実は当初のオーダーでは、新ディビジョンの登場順はオオサカ→ナゴヤという予定だったんです。ただこの天谷奴零のパートにかなりのラスボス感が出てしまったので、彼で締めたほうが楽曲の流れ的に美しいんじゃないかとご相談して、ナゴヤ→オオサカの順番に変えてもらったんです。

平山そしたら結果的に、ナゴヤの四十物十四の登場順が14番目になって。本当にこれは偶然で、僕らもファンの方のツイートで気づいたことだったんですけど。

福山計算していたことにしようと(笑)。いや、でも僕らもかなりキャラクターのことを理解しているつもりですが、ファンの方の考察の深さには唸らされることが多いです。
─そもそもヒプマイのプロジェクトには、どんな経緯で関わることになったのですか?

平山僕らは職業作家なのでコンペに参加することも多いのですが、ヒプマイについてはオファーでした。それ以前から、ももいろクローバーZさんをはじめ、アイドルのラップをフィーチャーした楽曲を作らせていただくことが多かったので、おそらくラップをキャッチーに書ける職業作家ということでお声がけいただいたのかなと思っています。

福山あとは、ラップをがっつり書ける職業作家が少ないから、ということもあると思う。

平山最近は出てきているけどね。音楽業界全体的にラップ要素の需要が増えていますし。

福山僕らがinvisible mannersとして活動を始めた6年くらい前もそれなりに需要はありましたけど、やっぱりHIP HOPアーティストとして活躍されている方がオファーされて、楽曲提供するケースが多かったと思います。

─ヒプマイでも、ディビジョンごとの楽曲はHIP HOPの重鎮的アーティストが提供している楽曲が多いです。お2人の制作する楽曲との違いはどこにあると思いますか?

福山もちろんキャラに寄せてはいますが、トラックやラップはおそらくご自身のスタイルの延長上で作っているんじゃないかなと思います。やはりそこはご自身もアーティストですからね。また、HIP HOPのなかでも濃いことをやっている楽曲もけっこう多いんです。ただHIP HOPを聴き慣れていない人にいきなり濃いものを提示したら、うまく届かないことがあるんじゃないか? という意図もあって、そこへの導入を作る役割として、職業作家である僕らにコンテンツ全体を俯瞰するような楽曲制作が任されたんじゃないかと思っています。

平山だから僕らが担当している楽曲には、HIP HOPのルールとかテクニックを幅広く盛り込んでいるんです。アーティストたちが作る濃い楽曲に、うまくバトンパスできるように、ということを意識しました。

福山だけど最近、意外とそんな心配いらなかったんじゃないか? と思うんですよね。というのも、ヒプマイの主なユーザーである声優ファンの方って、声に対してすごく敏感で、細かな表現もセンシティブに聴き取ってくれるリテラシーが高いんだなと。そこがHIP HOPというジャンルと、実はすごく相性が良かったんじゃないかと思います。たとえばHIP HOPの技術として声を上ずらせるみたいな表現を入れると、「これがカッコいいんだよね」とか即座に反応してくれます。わりと高度なテクニックを入れてもちゃんと発見してくれるから、僕らとしても嬉しいし、作りがいがありますよ。

提供元: コンフィデンス

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